●登場人物
主人公
稲森佑之介 33歳
妻と子ども
稲森秋保 32歳
稲森良太 3歳
そばや
『七森庵』 山形県山辺町 大蕨(おおわらび)
銀行員の友人
藤田圭太33歳
シンガポールの投資家
池本知春42歳
1話:ただ好きだから
2話:独立
3話:固い意志
4話:開店
5話:満員御礼
6話:それから1年
7話:バラ色の未来
8話:夫婦会議
9話:プレゼンテーション(この記事)
10話:ライバルが大成功
11話:豊かさとは?
プレゼンテーション
次の日、蕎麦屋の営業が終わってから
圭太と池本さんがやってきた。
そして、
パワーポイントで
これからどんな事業計画になっていくかを説明した。
なんとなく、
言っていることは理解できた。
そして、
疑問があるところを、
質問していった。
「そもそも、どうして全国展開しなくちゃいけないんですか?」
「全国展開すれば、売上が増えるだろう。
企業の使命は売上を増やし、雇用を増やすことなんだよ。
佑之介の給料も今の5倍、いや10倍以上とれるぞ」
給料をそんなにもらっても、使いたいものないし・・・
とは言える雰囲気ではなかった。
「全国展開するために、ぼくは何をしなければいけなんですか?」
「君には社長の座を用意している。それ相応の持ち株も準備している。
IPOも視野に入れているからね。
だから、そばを作るだけでなくて、
マネージメントにも力を入れてもらいたい」
ってことは、そばを打てなくなるのかな・・・
そんなのつまんない人生じゃないのか、とは言える雰囲気ではなかった。
「仮に収入も増えて、全国にも店舗ができて、
それからぼくはどうなるんですか?」
「良い質問だね、もし会社がそこまで大きくなったら、
もう君は自由だ!そのまま会社に残ってもいいし、リタイヤしてもいい」
「リタイヤって、どういうことですか?」
「もう、好きなことをしていいんだよ。
例えば、好きな場所に引っ越して、
大好きな蕎麦を打って、家族との時間をたっぷりとって
好きなように暮せば」
「え!!!」
佑之介は、ここで気づいた、
そしてこの二人は気づいていない。
会社を大きくして、
収入をたくさん得て
その後の未来の姿を
すでに自分が生きていることを。
*続きはこちらです
【10話:ライバルが大成功】