全くソーシャルメディアなどを使わず、名刺を1枚も作らないで、第一線の方々に仕事を依頼されるという、世の中の流れとは違う着想力は一体何なのか?
積み重ねてきたことが自分の信用や価値になる、その唯一無二な存在になる方法をコンサルタント瀬田崇仁さんにインタビュー!
いかに自分の閃きが生まれることを大事にし、それをどのように整えることまでしているのか、瀬田さんの頭の中の秘訣を伺いました。
インタビュー後半では、アイデアが生まれる情報収集の秘訣についてお話いただきました。
瀬田 崇仁
クリエイター・コンサルタント
▼インタビューは前半はこちら
ソーシャルメディアも使わず、名刺を1枚も作らずに仕事を依頼される着想力とは?瀬田 崇仁さんインタビュー
1. コンサル、税理士等の仕事をしようという人も、新聞とか読まなくて大丈夫
マツダミヒロ(以下、ミヒロ):瀬田さんのしつもんカンファレンスなどでのトークを見ていたりするときに、視点というか、アイデアがすごく面白いし、いろんなところから、アイデア・視点を拾っているような気がするんだけども、そのコツみたいなものはあるんですか?
瀬田 崇仁さん(以下、瀬田さん): ありますね。
コンサルティングという仕事をしていると、企業さんも相手だったりするので、「瀬田さん、どういう情報の取り方をまずしているんですか?」とよく聞かれるんですね。
「たとえば日経新聞を読んでいるんですか?」だったりとか、プレジデントとかダイヤモンドとか、「NewsPicks見てますか?」とか、そんな風に聞かれることが多いんですけど、実は一切そういうものを見ていないんですね。
ミヒロ:それは勇気が持てる話ですね(笑)
瀬田さん:だからもし、企業コンサルとか税理士の仕事をしようという人でも、新聞とか読まなくて大丈夫です!ということを、実家が新聞屋だったぼくが言う(笑)
ミヒロ:え?ご実家は新聞屋だったんですか?面白い〜(笑)
で!何を見てますか?
瀬田さん:意外にぼくが見ているのって、Yahoo!ニュースのYahoo!トップをいちばん見てるかもしれないです。
ミヒロ:えー、Yahoo!ニュース?? 意外! その理由は?
瀬田さん:見方というか、コツがあるんですけど、『リスペクト記事』とぼくが整理しているものを1日に5個とか10個くらい見るようにしています。
ミヒロ:リスペクト記事?
瀬田さん:『リスペクト記事』というのは、ぼくだったり、ミヒロさんだったり、これを見られる方もいると思うのですが、自分がリスペクトしている人物とか、リスペクトしている分野・・・
たとえば、こういう映画監督の人がすごく好きとか、あの新製品を作った開発の舞台裏にいた人が好きとか、仮にコミックとかがすごく好きだったら、何でコミケ(コミックマーケット)が年間に50万人集まっているのかみたいな、何でもいいんですけど、自分がリスペクトする記事の分野やプロジェクトとかって多分あると思うんですね。
Yahoo!とかってアルゴリズムなので、1回そんな記事を見ると類似記事が出てくるようになるので、最初は検索しないと難しいかもしれないですけど、リスペクト記事はYahoo!トップの1日をスクロールしたら、最低3つとか、多ければ10個くらいすぐ出てくるんですよね。
ミヒロ:そうなんですか?
瀬田さん:出てきます、出てきます。
演劇がすごく好きな人がいたとしたら、国立〇〇劇場の逆転劇みたいな記事が出てきたり、ビジネスが好きな人だったら、昔だと旭山動物園がすごく良くなった話とかが好きな人もいると思いますし、ただ単に芸能人のファンと言うよりは、その人の仕事へのストイックさが好きみたいな人のインタビュー記事って結構ありまして、そういうものを見るようにしています。
ミヒロ:自分がリスペクトしているのは、一見自分の本業とは関係のないものの場合も多かったりしていいんですか?
瀬田さん:全然OKです。どこを見ているかと言いますと・・・
ぼくがミヒロさんのライフトラベラーハウスのコンセプトですごく好きだと思うのは、一緒にいる時間を共にするとすごく変容していくってあるじゃないですか。
ミヒロ:あぁ、確かに。
瀬田さん:ライフトラベラーハウスやしつもんカンファレンスですごく好きなのは、一緒にいることでエネルギーを変容させていくという場。
それが大好きなので、そういう場に直接行く機会が取れるならどんどん行くといいと思いますし、日常的にやるとしたら、リスペクト記事を通してその人のエネルギーに触れるとか、エネルギーだけじゃないんですけど、「この人ってこういう視点で仕事を見てるんだ」とか「こういう感覚でやっていて、自分にはないものだから取り入れてみよう」とか・・・
あとは「こういうアイデアって、自分の業界に置き換えたらどうなるんだろう」と考えたりするので、自分の業界より少しズレていた方がいいですね。
しつもんカンファレンスは一緒に場を共有し、普段会わないいろんな人が各地から来て、新しい頭の化学反応みたいなものが起こったりしますよね。その「日常でできる版」を『リスペクト記事』でやっている感じです。
ミヒロ:視点と在り方みたいなものを吸収し続ける感じですか?
瀬田さん:そうですね。
具体的に言うと、
『視点』−どういう視点で見ているのか、
『感覚』−たとえばそれが事業だったら、「すごく努力をして頑張ってます」という感覚を持っている人なのか、「お客さんに喜んでもらって仕事をするとすごく楽しいです」という感覚を持っている人なのか、
『エネルギー』−会話でも、なんとも言えないエネルギーとしか言えないようなものを浴びていく感じだったり、
『発想』−他の業界でいう発想、こういう発想って自分の業界、自分の仕事では何だろうという発想とか・・・
あと、もう一つありました、『基準』です。
ミヒロ:基準?
瀬田さん:『基準』−自分がリスペクトするような人って、何かしらこだわりや基準という型を自分の中で持っていらっしゃるんです。この基準より下の仕事・クオリティのことをするとか耐えられないみたいな美学をみなさん持っていらっしゃって、その基準を「自分の背筋を伸ばす」というか、「襟を正す」ためにいただいているというか、感じ取っているというのはあると思います。
ミヒロ:なるほどね、それは極端に言えば、素材・教材は周りに転がっているということですね?
瀬田さん:めちゃくちゃ周りに転がっています。
2. 閃きは逃してはいけない、結晶化する
瀬田さん:唯一、『リスペクト記事』を見ていくときに、「こういう記事は違いますよ」と明確に言っているものがあるんです。
それは、誰かが類推して想像して書いている記事。
たとえば、しつもんカンファレンスで登壇される編集者の高橋朋宏さんが、本が世界でブレイクしたこんまりさんを、高橋さん自身が編集者として、自分が体験してきたストーリーを素に、「人生がときめく片づけの魔法」がなぜブレイクしたのか?はこういうことがあります、と本人が語っていたり、高橋さんにミヒロさんがインタビューしたという記事は、『リスペクト記事』として本物なんですけど、全然関係のない評論家みたいな人が勝手に分析して書くのは、やめた方がいいですね。
ミヒロ:要は、事実か推測かということですよね。
事実の記事であることが条件ですね!これはすごく重要なことだと思いますね。
瀬田さん:カンファレンスですごくいいのは、本人の『素』に質問家のみなさんが質問して、事実が出てくるということが、本当にそうだなと思います。
ミヒロ:ぼくは昨日ボルドー(フランス)に居たんです。
「ボルドーってカヌレ発祥の地で、カヌレがすごく美味しいらしいよ」と言うことと、「ボルドーでカヌレを食べたらめちゃくちゃ美味しくて、調べたらカヌレ発祥の地だったよ」・・・というような違いですよね。
瀬田さん:そうですそうです。全然違うと思います。
ミヒロ:前者は推測で、推測みたいな情報ってすごくいっぱいあるけれど、事実だけをいかにピックアップできるか、また自分自身も事実だけを発信できるか、というところがただ大事なんですね。
瀬田さん:講座をやっている中で、みなさんによく伝えていることがあります。このインタビュー内容もそうなんですが、「そこに書いてあることも尊いんですけど、それは究極忘れてもいいですよ」、と伝えているんですね。
仮に、ミヒロさんがぼくに「こういう情報があるよ」と伝えてくださるとして、それを『情報Aくん』とします。わたしの頭の中やみなさんの頭の中には、みなさんの才能や経験、これからやっていきたいことなど、いっぱい詰まってありますよね。
ミヒロさんが授けてくださった『情報Aくん』と、頭の中にあるものを合わせたときに出てくる閃きとしか言いようがないもの、それを学びと呼んでいます。
なので、ミヒロさんが言ったことの中の、場合によっては一部分を「これだ!」と衝撃を受けるように思う場合もあれば、ミヒロさんが言ったことをキッカケに全然違う発想がボカン!と出てくる場合もあったりとか・・・
多くの人は、本を読むときやセミナーに参加するときって、書いてあることに線を引いたり、言ってもらったことを書き写すことを大事にするんですけど、それよりも入ってきた情報と自分の中のものが合体して生まれたというか、作り出したものとしか言いようのないものだけを、ぼくはフォーカスしている感じです。
ミヒロ:あぁ、これはまさにその通りですね。ぼくも学んだりとか、本を読んだりするときにメモするものは、そこに書いていないものなんです。そういうことですよね?
瀬田さん:そうですそうです。
ミヒロ:先生が言ったことをそのままメモしても、ただの記録・・・閃きがないですよね。
瀬田さん:ないですね。
ミヒロ:いかに自分の閃きが生まれることを大事にし、それを記録し、整えることまで大事にするか、ですね。
瀬田さん:ミヒロさんが仰ったように、閃きはその瞬間に掴まえないとダメみたいなところがあるので、ぼくは読書をしていても、閃きが生まれた瞬間は30分間くらい立ち止まったりしています。
止めて、閃きから連想ゲームというか、こんなこともできそう、とか、自分の仕事に置き換えるとこういうことだ、ということをずっと頭の中で生み出したり、組み立てたりするので、本を閉じて30分は考える、をよくやっています。
ミヒロ:へぇ〜。そこが『差』ですね。
「あ、閃いた!」「なるほど!」と思ったときに、読み進めちゃうでしょ。
でも、そこでいかに立ち止まれるか、イマジネーションをし続けるかということが、違いを生むんだなと思います。
瀬田さん:それはすごくありますね。
ミヒロ:閃きは逃してはいけない。そこで育むですね!
瀬田さん:ぼくはよくそれを「結晶化する」という言葉を置いてるんですけど、放っておくと蒸発化しちゃうんで。
ぼくの場合は「この閃いたことで、クライアントAさんのあの仕事のことで使えるかも」ということを頭の中で全部カタチにまでしちゃっている感じです。
ミヒロ:その時点では記録しないんですか?
瀬田さん:その時点で言語化までしています。
ミヒロ:本を読みます→閃きました→本を閉じます→イマジネーションします→シュミレーションします→そこでメモする感じですか?
瀬田さん:はい、言語化(メモ)します。そのとき大体いつ使うか?まで決めています。
ミヒロ:タイミングも決めるんですか?
瀬田さん:決めてます。そこは大きいですね。
ミヒロ:え?どういうことですか?いつ使うかを決めるのですか?
瀬田さん:今度クライアントAさんの会議のここのこの場所でこれは使おうとか、この現場のこのプロジェクトに使おうって決めます。
アイデアの残骸みたいにするんじゃなくて、未来のここに使うパーツにまでしているという感覚があります。
ミヒロ:スケジュール化するんですね?
瀬田さん:しています。
ミヒロ:それだとムダにならないというか、生きてきますよね。
瀬田さん:作るのが楽しみで仕方ない、これ使ったらどうなるだろう?って考えることが楽しいです。
ミヒロ:それは面白い仕事の仕方ですね。
ミヒロ:瀬田さんがこれからやりたいこととか取り組みたいことってありますか?
瀬田さん:それを今、クルーズの船で考えています。
ミヒロ:そうなんですか?
瀬田さん:そうですそうです。
ミヒロ:もう既にあるのかと思ってました。
瀬田さん:前回お話した『オセロ理論』と重なったりするんですけど、昔取った杵柄に甘んじないということを自分に課しているところがあります。
本当に有り難いことに業界の第一線で活躍している方を何人もクライアントにしているんですけど、正直、一時期が最高地点にいらっしゃって、昔の杵柄で食いつないでいる方もいらっしゃれば、そうじゃなくて、売上が上がっていくとかだけではないのですが、どんどん輝いていくというか・・・
見ていてものすごく両者に分かれているな、と思うんです。
それで、昔取った杵柄で仕事をしてはいけないということを、自分にも戒めていたり、自分の講座にいらっしゃる方にも、実績を出されている方にほど、おこがましくも伝えていることがすごくあります。
ミヒロ:これからも新しいことに、進化してやっていきたいということですよね?
瀬田さん:はい。進化のときは(頭が)モワモワになっている感じですね。
ミヒロさんが離島かどこかで、何もない島で講座というかリトリートをやったという・・・そういうのもいいなと思います。
ミヒロ:これからが楽しみですね!
瀬田さん:はい。
ミヒロ:ありがとうございます。
瀬田さん:ありがとうございました。
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ソーシャルメディアも使わず、名刺を1枚も作らずに仕事を依頼される着想力とは?瀬田 崇仁さんインタビュー
瀬田 崇仁さんも登壇予定!
しつもんカンファレンス
2019年11月9日(土)10日(日)