今回は、「言葉の奥を知る」ということについてのお話です。
1. 言葉の力
言葉はとても大きな力を持っています。
その発言に心が動いてしまうこともあるでしょう。
しかし相手が発する言葉は必ずしも真実ではありません。
その言葉の奥に何があるかを感じることが大事であり、どんな意図を持ってその言葉が出てきているかを察することが大事なのです。
言葉によって人の心は動き、落ち込むこともあれば喜ぶこともあります。
人は、他人の言葉にはとても影響をされやすいのです。
2. 人から言われた言葉に影響される
以前講演をしたとき、講演中に受講者の方が「今日は最悪」とつぶやいていました。
それを聞いてしまったぼくは動揺してしまい、その後の話がいつものようにうまくできないということがありました。
しかし、どうしてもその一言が気になり、その受講者の方に、
「今日はどうでしたか?」
と聞くと、
「とてもためになりました」
と答えてくれたのです。
喜んでもらえていることは嬉しいのですが、不思議に思い、「最悪」とつぶやいていたのを聞いたことを伝えると、講演がつまらなかったわけではなく、家族からのメール
でよくないことが起きたことを知り、それで最悪とつぶやいてしまったようです。
でも、講演の中で質問によって気持ちを切り替える方法を知り、そのことも解決したことを感謝されました。
ぼくの思い違いでしたが、言葉によって影響されてしまったことは事実です。
人から何かを言われると、その言葉が引っかかって、気になってしまうものです。
何かを質問して答えをもらったときも同じです。
相手の答えによっては、その答えに影響され動揺してしまうかもしれません。
でも、実は答えの内容はどうでもよいのです。
そもそも答えに対して、何かを期待をしてはいけません。
相手の言葉は事実かどうかもわからないし、本当かどうかもわかりません。
質問したときに、大切にするべきものは、「答え」ではなく「答えが出るまで」なのです。
真剣に答えようとしているのかどうかを見極める。
相手の、本当の答えが出るまで待ち そして、答えたことを承認する。
これが大事なことであり、何を答えたかはどうでもいいのです。
「答えが出たということ」に価値があります。
ですので、答えに影響されなくてもよいのです。
3. 言葉の奥の、本当の想いにフォーカスする
以前、ある高校に魔法の質問の授業をしにいったときに、こんなことがありました。
「何でも叶うとしたら、何を叶えたい?」という私の質問に多くの生徒は将来の仕事のことや夢を答えてくれましたが、「悪魔になりたい」と答えた男子学生がいました。
周りの先生たちも「そんな変な答えをしないでちゃんとした答えをいいなさい」という気持ちで見ていました。
ぼくは最初、少しその言葉に影響され戸惑いましたが、気をとりなおし、相手にさらに質問をします。
「そうか、悪魔になりたいんだ。悪魔もいいよね。でも悪魔になったら何をしたいの?」
でも、ここで大事なことは、出てきた答えを否定せずに答えが出たプロセスを、承認してあげることが大事です。
出てきた答えをジャッジする必要はないのです。
彼の答えは、
「悪魔になって、思い通りの世の中にしたいんだよ」
さらに深く質問をしました。
「思い通りの世の中にするのも面白いよね、ではその思い通りの世の中ってどんな世の中なの?」
彼はそこまで考えたこともないようで、一生懸命考えて答えてくれました。
「不公平のない、すべての人が平等な世の中だよ!」
彼の願いは、人類が平等であること、世界が平和であることだったのです。
彼の言葉で言うと、思い通りの世の中をつくる力を持った存在は、悪魔だったということなのでした。
多くの人は、こんなとき「悪魔」という言葉のイメージに引きずられて、その答えを否定したり、心配したり、怖がったりしてしまいます。
「なに変なことを言ってるんだ」と叱りつける人もいるかもしれません。
でも、そんな反応をされたら、思ったことを口にすることを、やめてしまいます。
どうせ言ってもわかってもらえないのだから、と。
相手の言葉に対しては「そういう意見もあるんだ」と受けとめて、その言葉の意味をそのまま捉えすぎずに、気になる部分は「それはどういう意味なのか」を掘り下げて確認すればいいのです。
ニュートラルに、平常心で。
相手の答えや言葉に引きずられずに、その人の、本当の想いにフォーカスしていきましょう。
言葉の奥にはどんな定義がありますか?
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