他人の視点に立ってみたり、周りとの関係で自分の立場を再確認することで、「そうだったのか」と気づくことがあります。
また、他人の考え方について思いをはせることでも、思考の枠が広がります。
偏った考えにならないよう、客観的な視点が得られる質問が効果的です。

1. フィードバックする
仕事の中で、経費がどのように生きてくるか、意識してもらう
① NG質問「これが経費になると思っているの?」
↓
・この経費は、何の役に立つと思う?
・この経費でどんな効果が得られると思う?
・会社はなぜ経費を認めると思う?
アバウトな経費の使い方をする人には、ただ注意するよりも、経費にはどんな効果があるのか、どのように業務へ反映されるのかを考えさせることが大切です。
経費の意味合いが理解でき、有効な使い方が意識できるようになります。
現状を把握してゴールへ向けての段取りを意識する
② NG質問「例の企画書、いつ仕上がるの?」
↓
・例の企画書、今どのくらいまでできている?
・この後、どんな手順で進めていく予定?
・並行して進めている作業はある?
完成時期を聞くだけでは、相手はゴールのみを意識します。一方、進行具合を尋ねられると進捗の整理ができ、今の立ち位置からゴールに向けてのステップをイメージすることができます。
相談しやすい雰囲気で語りかけましょう。
2. マナーを改善する

人に対する態度が悪いときは、逆の立場で考えさせる機会を
① NG質問「さっきの態度は、相手に失礼だと思わない?」
↓
・さっきの態度は、相手にはどんな風に見えたかな?
・お客様はどう感じたと思う?
・お客様はどんな表情をしていた?
態度が悪い人には「先方の目にはどう映っているか」、立場を逆転させた質問が有効です。礼儀作法を知らない、無意識での失礼な振る舞い、もあります。
「同じことをされたら嫌だな」と気づけば行動を改めるきっかけに。
服装について注意したいときは、周りへの影響を考えてもらう
② NG質問「その服装は、うちの職場にどうかな?」
↓
・どんな服装なら、周りの人が気持ちよく働けると思う?
・あなたの立場に求められる服装は、どんなものだと思う?
職場の雰囲気や仕事にそぐわない服装をしている人に対して、穏便に注意するのは難しいもの。「自分はこれでいいと思う」という自分軸の答えではなく、相手軸でものを考えるための質問で、周囲との調和を促しましょう。
遅刻を責めるより、会議の意味合いを理解してもらう
③ NG質問「大事な会議だったのに、なんで遅れたの?」
↓
・今回の会議にはどんな意味があったと思う?
・この会議が重要な理由は何だと思う?
・全員で共有するとどんなメリットがある?
遅刻をとがめるだけではなく、なぜ会議に遅れてはいけないのか、根本的な理由を理解させることが大事です。
会議の意味合いを知り、自分が遅れたり欠席したりすることで、周囲に影響を与えることに気づいてもらいましょう。
3. チーム力をアップする

チームの仲間に対して、貢献できることを考えさせる
① NG質問「仲良くするには、どうすればいいかな?」
↓
・どんなことをしたら、チームのみんなが喜ぶと思う?
・あなたの得意なことで、みんなの役に立つことは何?
「仲良くするには何をしたらいいか」では、うまい答えが浮かばないことも。むしろ、仲間のために「自分は何ができるだろうか」という自問が効果を発揮します。そこから役割意識や、チームの役に立ちたいという思いが生まれます。
自分たちの優位なところを見つけ、独自性を伸ばす質問
② NG質問「うちのチームはみんな優秀だよね。」
↓
・他の人よりも優れているのは、どこだと思う?
・他社より優れているところはどこだと思う?
・自分たちだけの「強み」は何だと思う?
個人でも、組織レベルでも、他と比較して優位な部分を見つけることは重要な課題です。自問することも大事ですが、上司や同僚、顧客など、他社の答えから見えてくるものもあります。周りの意見も採り入れましょう。
考え方や行動力を「最高のモデル」から学んで実践に生かす
③ NG質問「やるからにはトップを目指そう!」
↓
・世界一になったチームは何が優れていると思う?
・世界一のチームは、どんな会話をしていると思う?
モデリングの対象を「世界一」にすることで、考えや行動を最高レベルへ引き上げるための質問です。何をしているか分析し、さらにどんな気持ちで取り組んでいくかをイメージさせることで、大きな成長が望めます。
必要な役割から考えれば、各自の行動に自覚が生まれる
④ NG質問「誰が何を担当するか決めておいてもらえる?」
↓
・このプロジェクトにはどんな役割が必要か、考えてもらえる?
・では、誰がどの役割を担当する?
・さっそく何から手をつける?
与えられた役割を分担するのではなく、「そもそもどんな役割が必要か」「それには誰が適任か」、そこからはじまめましょう。自分たちで考えることで、積極的に取り組むのはもちろん、強い自覚とチームの和も育まれます。
自分たちでチームの強みを言葉にすれば、団結力が高まる
⑤ NG質問「今月は一致団結して結果を出そう!」
↓
・私たちの強みをキャッチコピーにすると何だと思う?
・私たちの合言葉をつくるとしたら、どんな言葉がいい?
チーム力を高めるには、全員で共通の思いをもつことが大切です。ありきたりの言葉ではなく、自分たちでチームの強みをキャッチコピーにするのも効果的な方法。自分たちでつくることで全員の意識が高まり、強い団結力も生まれます。
「1人ではできない」ことを自覚すれば、感謝の念がわく
⑥ NG質問「自分だけがスゴイと思ってない?」
↓
・どんなところをみんなに助けてもらっている?
・仲間にしてもらって、うれしかったことは何?
チーム力は、個々のメンバーの力を合わせた総合力。互いに足りない部分をフォローすることで、強いチームになります。1人ではできないことを実感するとき、あらためて仲間への感謝やリスペクトが生まれます。
ミスの頻発を防ぎ具体的な改善策に意識を向けさせる
⑦ NG質問「何回注意されてんだ!」
↓
・前回注意した後、何(どこ)を変えた?
・そうなんだね。変えてみてどうなった?
・もっとよくするために、どんなことができる?
度重なるミスを責めるだけでは、チームや部内の士気が下がります。「何を(どこを)」変えるとよくなるかの質問をしましょう。また、「前回」という言葉から、注意すべき点を、あらためて振り返ってもらう効果もあります。
4. 会議の質を上げる

会議後すぐに、仕事が動き出すのが質の高い会議
① NG質問「何のための会議かわかってる?」
↓
・終わったときに何が決まっていたらベストかな?
・では、誰が何をいつまでにやる?
・各自の「やることリスト」には何がある?
ダラダラ話すだけで、何も決まらない会議は避けたいもの。そうならないためには冒頭で、会議の目的、決めることを共有しましよう。
担当者、スケジュール、段取りなどが決まっている状態がゴール。会議後すぐに行動を起こせる質問です。
新たな発想が必要なときは、新たな会議のスタイルを試す
② NG質問「今度の会議では、新しいアイデアを出してくれる?」
↓
・どんな会議だったら、新しいアイデアがわいてくる?
・会議以外だったら、どんな場所で会議をしてみたい?
マンネリ化した会議から新たなアイデアは出にくいもの。場所を変える、メンバーを増やすなど、意外な工夫をすることで発言も活発になります。自分たちならではの「ユニークな会議」をデザインしたくなる、ワクワク感を高める質問です。
目標が大きすぎると、何から行動していいか戸惑うものです。
5. 考え・思いを引き出す

自分の意見を伝えてから、アドバイスを聞く
① NG質問「〇〇の件、アドバイスをいただけますか?」
↓
・〇〇の件、私は△△と思いますが、Aさんだったらどうされますか?
・私は〇〇がいいと思うのですが、Aさんはどのように思われますか?
アドバイスをもらうときは、まず自分の考えを伝え、それに対する相手の意見や助言をもらうのが大人の対応。「Aさんならどうされますか?」と、敬意が伝わる聞き方をすれば、相手も親身になって答えてくれます。
akaz says
自分視点で質問をして、詰問になるケースが実際にありますね。
相手に非があっても、どう気づかせるか?
ここが重要ですね。