上司「いよいよ明日、製品発表会だね。うまくいきそう?」
部下「・・・ええ。まあ」
上司「今の大変さは何%ぐらい?」
部下「正直言って、200%です」
上司「そうなんだ。どんなサポートが必要かな?」
部下「配布資料をパッキングする人手が足りないんです。2〜3時間、1人でいいので確保できませんか?」
上司「すぐに隣の部署に掛け合ってみるよ。ほかに私にできることはある?」
1. 部下の大変さをわかってあげる
部下に「うまくいきそう?」と声をかけて、瞬時に「ハイ!」と答えがない場合、間違いなく何らかの問題が起こっています。
本人はうまくいってないことを認めたくないので、言葉を濁すのです。この状態を放置しておくと、部下のモチベーションの低下を招くだけでなく、業務上の大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
こうしたトラブルの芽を早めに摘み取りつつ、部下のやる気をアップさせる一石二鳥の質問が「うまくいきそう?」です。
すでに部下は、失敗するかもしれないというプレッシャーで思考停止に陥り、目の前にある問題の解決策が思い浮かばない状態かもしれません。そんなときこそ、上司が救いの手を差し伸べる必要があります。
部下にしてみると、自分の大変さがなかなか上司に伝わらないという不満が常にあります。
そこで「今の大変さは何%ぐらい?」と尋ねてあげると、部下の不満を和らげる効果があります。
場合によっては、今どんなふうに大変なのかを聞いてあげるだけで、部下は「自分の大変さがやっとうまく伝わった」と満足することもあります。
部下に大変さを尋ねて、返ってきた答えが150%を超えていたら要注意です。必ず何らかのフォローが必要です。
まず、1人で悩まなくてもいいということを伝えるために、「どんなサポートがほしい?」と声をかけましょう。こう尋ねると、さまざまな要望が上がってくるはずです。
さらに「自分に手伝えることはある?」と全面的にフォローするという姿勢を見せると、部下の抱えていた不安は軽減され、低下していたモチベーションは回復していきます。
そして何より、上司に対する信頼感が大幅にアップします。
相手が困っているときほど、信頼関係は築きやすいものです。つまり、部下が問題を抱えているときは、信頼関係という絆を深めるチャンスととらえてください。
仕事がうまくいくかどうかを考えるとき、そこにはさまざまな要因がからんできますが、最も大きな影響があるのは人間関係です。
人間関係が良好だと組織内の風通しがよくなり、情報が伝わるスピードがアップしますし、問題の発見、解決のスピードも上がります。
つまり、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)というPDCAサイクルがスムーズに回りやすくなるのです。
・うまくいきそう?
・今の大変度は何%ぐらい?
・どんなサポートがほしい?
2. 結果は伴わなくても行動した事実が大事
部下が「自分の大変さは150%」と申告してきたら、上司としては、せめて100%くらいに引き下げてあげたいですね。
ただ、現実には、なかなか難しい面があると思います。多くの企業では、何年にもわたって効率化とコストダウンが繰り返し行われているため、どの部署も慢性的な人手不足状態で、予算の余裕も全くない、リソース不足というのが実態です。
部会「どんなサポートが欲しい?」と尋ねても、返ってきた要望に応えることができないかもしれません。大事なのは対策を一緒に考えてあげることと、部下の負担を少しでも和らげるために上司が行動することです。
行動の結果、状況が何も変わらなくても、部下は喜んでくれるはずです。
仕事上の問題を解決するための答えの大半は、現場の中にあります。そして、変える対象は「自分」か「自分以外」の2つしかありません。
ところが、多くの場合、自分以外のことに問題があると考えがちです。「顧客がわがままで・・・」「不況で・・・」「人で(予算)が足りなくて・・・」「ライバル会社の製品が強敵で・・・」といった具合。
「自分以外」のことを変えるにはかなりのパワーが必要ですし、変えられないことも多い。それに比べると、自分を変えることのほうがすぐにできそうです。
改善策を部下に尋ねるときには、「自分」と「自分以外」の2つの視点を持つことが必要です。
・何を変えればうまくいきそう?
・あなたが変われることは何ですか?
齊藤 香織 says
部下から、上司への声かけも
言葉を変えて
あっても良いと思います。