『マウイのハレアカラの山にサンセットと星を見る体験をする』ガイドを続けて15年。
続けるコツ、そこから見出した楽しさという貢献、人間の小ささと輝き、人とのつながり、チャレンジすることと成功を恐れる考え方、パートナーシップ。
自然という生物と向き合い続けてきた山内さんの言葉には、人としての尊厳を思い出させる力があります。それは長い時間、自分と対峙し続けて生まれた言葉なのかもしれません。
シンプルに、自然に生きる!
迷ったとき、自分の道を選択したいとき、思考をリセットしたいときなどにオススメな山内良和さんのインタビューです!
インタビュー後半は、考えるより感じる!自分の感性を信じる!そんな後押しをしてくださるお話です。
山内 良和
CPR免許救急救命士・
The Planetary Society (TPS)
アメリカ天文惑星協会会員
天体専門ガイド
▼インタビュー前半はこちら
人は失敗した方がいい。マウイハレアカラ登頂を3000回、山内良和さんインタビュー
1. 自分の思った通りにはならなくても、やった通りにはなる
マツダミヒロ(以下、ミヒロ):ぼくも詳しく分からないのですが、日本で今、働き方改革みたいなものがあって、それは「労働時間を減らそう」ということなんですが・・・
「それでいいのだろうか?」という話をしたいと思っていて、山ちゃんの今までの働き方を聞くと、『ひとりブラック企業』ですよね(笑)
山内 良和さん(以下、山ちゃん): 間違いないですね!『ひとりブラック!』。
ミヒロ:でも好きだったら、それでもいいんじゃないかな?というのもありまして。その辺はどうお考えですか?
山ちゃん:体を壊さない程度に頑張れるときは頑張って、できるだけのことをやれば、それだけの結果を得れると思います。
いつも自分の思った通りにはならなくても、やった通りにはなるから、できるだけやっておいて、きちんと人間のクレジットとか、お金のクレジットを作っておいた方が・・・
ミヒロ:クレジットとは信用ということですよね?
山ちゃん:その通りです。
クレジットを作っておいた方が、後が楽ですよ。
もちろん、働き方が楽な方が楽ですよ。でも、休んで、休んで、休んじゃうと休みグセがついちゃうから、ある程度休むことは必要だと思いますが、体にムチを打つことも必要。キツいかもしれませんが、できるうちはやっておいた方がいいと思いますね。
ミヒロ:働く時間が多い、少ないが問題じゃなくて、好きなことをやっているかどうかの時間の多さが大事ですよね?
山ちゃん:そうですね!
でね、やっぱり、悩んでたら辞めたらいいんですよ(笑)
なんで悩んでいるのか?と思いますよね。だって嫌なんだったら辞めたらいいじゃないですか。辞めないと次は出てこないし、次やってみてダメだったらまた当たって砕けろですよ。
ずっと悩んでいて、「あそこはダメだ、これが嫌だ」って愚痴を聞くことほど、嫌なことはありませんよ。
自慢話と愚痴はつまらないですよ、本当に。
「こんないいことがあって、こんなにお金儲けちゃった!」という話の方が楽しいし、何でも前向きに生きていかないと。
後ろは後ろだから!今日は今日だし!
ミヒロ:辞めるコツってなんですか?
山ちゃん:辞めちゃえばいい、パパっと。書いて、「やーめた!」っていうのが楽(笑)
辞めて、後にかかってくるのは自分じゃないですか。そうしたらそこで努力をせざるをえないから。そういうところに持っていっちゃった方がいい。
ミヒロ:言い訳できない環境に持っていった方がいい?
山ちゃん:そうです。
良い大学を出ていたら、あそこにも、ここにも就職できることはあるけれど、高卒だとこれしかない!でもその方が楽だったりするんですよね、結構。
選択肢がないから。もうやるしかないじゃないですか、後は。
そういったところに自分を追い込んでいった方が楽じゃないですかね。
あれをやめて、これをやめたら、これしかない、みたいな。
そうしたら、これ1本で行くしかない!
選択肢がない方が専門職にもいけるし、好きなことができる。
好きなことで食べれることがいちばんいいですから。
ミヒロ:そうですね。
山ちゃん:嫌なことを続けてやっても、嫌なことですから、最終的には。
長続きしないと思います。それはどんどん嫌なことばかりが見えちゃうから。
好きなことだと、「次はこうやってみよう」と思えますし、それで喜んでもらえたら「また次はこれをやったら喜ぶかな?」という発想が浮かびますが、「あそこで休んでやろう」、「ここで休もう」と思うと、マイナスの気持ちにばかりになっていき、人を喜ばすまでいかなくなります。
人に迷惑をかけることになるし、自分にとっての負が膨らむと思いますね。
2. 棺桶を閉めてくれる人がいないと閉まらない
ミヒロ:十何年か仕事をされてきて、山ちゃん、結婚したのは何年前でした?
山ちゃん:3年前ですね。
ミヒロ:1人でずっとやってきたときと、パートナーがいてやってきたのは、仕事における感覚って違うんですか?
山ちゃん:これもいつも言っているんですけど、「棺桶は自分で閉められない」ってことなんですよね。
どんなにお金を持っていても、地位が何であろうと、最期は廻してくれる人がいないと・・・棺桶を閉めてくれる人がいないと閉まらないんです。
人の力を借りるということは間違いないので、だったら貸してくれる人を選んでおくのはひとつの手かな、と。
ただ自分は、1人でずっとやってきて、1人でいた方が楽なんですよ。
でも、先程の法則ですね。大変な方を選んだ方がいい!です。
ミヒロ:はは(笑)大変な方を選んだ方がいい(2人で大笑い)
山ちゃん:1人の方が楽ですよ。お金も何でも使えるし。
でも、大変な方を選んで、「ああ言われるわ、こう言われるわ」って言われる方を、逆に楽しんでいます。
ミヒロ:なるほど!
たとえばですよ、女性の方もですが、40歳になりました、独身できました。
食べていけるし、仕事もあるし、自分のリズムもあるし、今が楽なんです。
でも、パートナーが欲しい、という悩み。
2人だと楽な生活を手放さなきゃいけない、という人がいそうな気がするんですけど、そういう方にアドバイスをするとしたら?
山ちゃん:楽なことは確かに楽なんですけど、そこで得られる楽しさ以上のものが、2人では得られると思います。辛い分。
ミヒロ:辛い分、なるほどね。
山ちゃん:辛かった分、1人で味わう以上のものを、また2人で味わうことができる。『人間は1人では生きられない』ということを、いつかは感じるときが必ず来ると思うし、倒れたときに誰かが来てくれるという、そんな最期の財産が『友達』だとぼくは思っているんです。
いいんですよ、独身で。
誰に何を言われようと、楽しいのなら独身でいいんですよ。
ただ、周りから言われて「どうのこうの」と考えるよりは、自分が1人で生きていくために「この人とこの人が必要」と思うなら、結婚しないことと一緒だから。
お金が発生するかしないかの問題であって、今、夫婦で一緒に住んでいても、お金は別という方もいらっしゃるし、それはペーパー1枚の話だから。
それだったら自分の『どうやって生きたいか』という気持ちと、相手が同じような気持ちであれば、一緒になった方がいいと思いますし、ご飯も1人で食べているよりは、2人で「ああだこうだ」と言いながら食べていた方が楽しいことはみんな分かっていると思います。
友達でもいいし、彼氏でも旦那でもいいし、もう1人誰かいた方がいい。
その究極が『旦那さん』だということじゃないですか。
旦那さんが「俺は肉を食べたくない」、と言うようなときもありますよ。
でも、そんな会話も1人では絶対生まれないですよ。
ミヒロ:確かに。
山ちゃん:1人だったら、自分の好きなものしか食べないし、新しいものとは出逢えません。
ミヒロ:世界が狭くなっちゃうんですね。
山ちゃん:競走馬の目が開いているだけ、と一緒ですね。「走れ」と言われるだけになっちゃう。そうなるとまわりが見えないから。
それでも脚力はあるんですけど、でも「ああだこうだ」として生きていた方が人生は楽しいかなと思います。
ミヒロ:新しい世界を見たいか、そのまま自分で生きたいかで決めていくといい?
山ちゃん:そうですね。
でも、せっかくの人生だから、いろんな世界を見た方が楽しいと思うし、いろんなものを食べて「不味い」と思った方がいいんですよ。
食べないから、自分では絶対。
それは、周りからくるインフォメーションで感じることだから。
ノートはページが多い方がいいです。いろんなものを書けるから。
いつも同じページばかりで、同じことを繰り返しているよりは、いろんな新しいページを開いていった方がノートは厚くなるし、生き方が違ってくると思うんです。
3. 後ずさりするより、前に出た方がいい
ミヒロ:若い20代の人とか、「新しい体験をすることが恐い」ということがあるかもしれません。そういうときはどんな風に考えるといいと思いますか?
山ちゃん: いや、ずっと同じことをやっている方が恐いですよね。
ミヒロ:あ!実は?
山ちゃん:うん。実は同じことの繰り返しだから。
たとえば、同じ仕事をずっとやっていることでこの給料をもらえる、ただ、もう1つやると、ものすごく給料は減っちゃうかもしれないけれど、でもやりがいがある、というのだったら、やりがいがある方を取った方がいいね!
だって、同じことを繰り返すために生まれたわけじゃないし、いろんなものを感じて、いろんなものを発信していく。
自分で「あの人と話したいな」という気持ちになれた方がいいじゃないですか。
でも、同じインフォメーションだったら、絶対ないからねぇ・・・それしか。
新しいものが入ってきていないから。それだったら1人できちんと区切りをつけて、何かを捨てないと新しいものは生まれない。
ミヒロ:何を始めるかよりも、何を捨てるかというところを考えてみるといい?
山ちゃん:そうですね。その方がいいと思います。
同じことの繰り返しより、新しいものを見ていろんな発見をされた方が「生きているんだな」という感情になれるから。
人は旅行に出て、色んなものを感じる。
ただ、ガイドブックには載っていないものがある。それは行かないと分からない。
いつも同じ本を見ていても、それはそれ。
ただ、自分が見たときに「実は、あの街はあんなに汚いんだよ」と言うのはガイドブックには書いていないから、それと同じですよね。
ミヒロ:情報と体験の違いということですよね。ガイドブックは情報しかないですもんね。
山ちゃん:そうですね。しかも良い情報しかないから。
こんなひどいこと・・・という情報誌はないからね。
そんな風に考えると、自分の好き嫌いも、筆者の好き嫌いもあると思うし、全然違うと思うから、前に一歩出ることです、まず!間違いなくね。
後ずさりするより、前に出た方がいい。
いつも引き上げの勝負はつまらないです。やはり、勝ち負けはないと。
ミヒロ:最後に、仕事のことでも、人生のことでもいいのですが、山ちゃんがやっていきたいこと、チャレンジしたいことはありますか?
山ちゃん:いちばん最初にアメリカに来たとき、「飛行機に乗りたい!」それだけで来て、飛行機のライセンスを取りに行き、空を飛んでいたんですよ。それでアメリカの大きさが分かってきて、アメリカに住みたいと思ったりして。
余裕が出て時間ができたら、もう一回飛行機の免許を取り直したいなというのは少しあるかも!あとは今のルーティーンなんですけど、お客様とお話をして、活力を与えることができて、星の下で夕陽と星と一緒にいられるということは、幸せじゃないかなと思うんですよね。
生きている以上は、人に影響を与えること、それがいちばん大事なことだと思うから、「それをするには何をしなければいけないか?」「それをやるのだったらこうした方がいいのか?」という自分にとって必要なことを探し、やり続けていたら、暇な時間はないんですね。
暇だと言う人がいますが、それは自分で暇にしているだけであって、自分でどんどん目的を持って、目標を持ってやっていけば必ず夢は叶うと思うし、夢は実現するために見るものだから、前に進むことだと思いますね。恐くない、そんなに。
ミヒロ:ちなみに何歳まで仕事していますか?
山ちゃん:ぼくね、仕事してなかったら必ずボケると思うんですよね(笑)
老人は、お部屋の真ん中で寝かしてはいけないと言うじゃないですか。「おじいちゃん、おばあちゃん、どいて!」と言わないと万年の子になっちゃう。人間ってそうやって脳を活性化していかないといけないと思うんです。やることが多い方が、貧乏性かもしれませんが、いいのかもしれません。
お金があって、時間があって、何もやることがないと、次にやることがなくなっちゃうと思うんですよね。もう、やることやっちゃっているし。地位だとか、名誉だとかも終わるじゃないですか。
「そうしたら次は何?」なんですよね。
それだったら、5人家族、6人家族で「わー」と言いながらも、子どもたちと一緒に過ごしている方が、お金がなくても幸せだと思うし、1人の女性でもエンジョイしている女性は、結婚して何も喋らない夫婦よりは楽しいと思うし、それぞれの楽しみを見つけていけばいいと思います。
いつでも元気よく、自分でいたいんですよね。
自分に活力がないと人にはエネルギーを与えられないから。
ミヒロ:そうですね、自分に活力を、ですね。
山ちゃん:自分に活力とは?なら、
ご飯を食べる、好きな人と一緒に楽しい時間を過ごす、やれることはやったらいい!ですね、何でもね。やらないよりやったほうがいいですね!
ミヒロ:マウイの星を、みんな観に来てもらえたらいいなと思うんですけど、初めて来る人に、あの星空へのお誘いをするとしたら何て言いますか?
山ちゃん:そうですねぇ、
今までの現実と違う世界を観てみませんか?という感じですかね。
あんなのは観れないし、テレビはテレビで平面だし、いくら画像で見たとしてもあの空間に入らないと分からないので。
ミヒロ:今までと違う世界を観たい人はぜひ。
山ちゃん:そうですね。
あと、戸惑ったり、迷ったりしている人は「来い!」と(笑)
「戸惑うことないぞ」、「宇宙はデカいぞ、お前は小さいぞ」と分かるから。
ミヒロ:あ、そうか。
悩みを解決する方法のひとつとして、自分は本当に宇宙に比べたらちっぽけなんだってことですね。
山ちゃん:「何でこんなことを悩んでるの?」と思うと思うんですね。
あの世界は来ないと分からないです。
ミヒロ:ということで、ぜひ来てください。
山ちゃん:よろしくお願いします。
▼インタビューは前半はこちら
人は失敗した方がいい。マウイハレアカラ登頂を3000回、山内良和さんインタビュー
山内 良和さんも登壇予定!
しつもんカンファレンス
2019年11月9日(土)10日(日)
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