コミュニティは、2つの種類に分類することができます。
「依存型」と「自立型」です。
1. おすすめしたい「自立型」
依存型の参加者は、なかなか自分で考えることをしません。受動的なので、主宰者のあなたが大変になっていきます。人数が増えるほど大変になるので続きません。
おすすめしたいのは「自立型」です。
ぼくは「魔法の質問」を提供し、それに共鳴したコミュニティをつくっています。魔法の質問で大切にしていることは、「答えは自分の中にある」ということです。
自ら考えて答えを出すのがコンセプトです。だから、「相手に何かをしてほしい」という依存型の人は集まってこないのです。
ぼくがお伝えしているメソッドは、依存型の人には適していません。
それにあながた主宰者として活動していくにあたって、自立型のコミュニティをつくったほうが、気持ちのよい関わりができます。
なぜ自立型のほうがいいと強く思うのか。
それは、ぼく自身が依存型と自立型の両方を体験したうえでの結論です。
ツアー旅行をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
旅行会社のツアーと、自分でチケットを取っていく旅があるときに、旅行者には意識の違いがあります。
あなたも経験があるかもしれませんが、旅行代理店は、飛行機の手配、ホテルの予約、事前確認、旅先のインフォメーションなど、何でもしてくれます。「してあげることが、いいこと」という価値観があります。お客様のために何でもするので、参加者は何も考えなくてよいのです。
一方、自分でチケットを取る場合は、そうはいきません。自分で考えて選び、自分で考えて行動していくわけです。
海外では見かけたことはありませんが、日本のある有名なホテルで、こんな光景を目にしました。ある男性がホテルのラウンジで、ホテルのスタッフへ「おい、新聞!」と命令していたのです。
これは「きっとこちらは客なんだから何でもしてくれるはず」と考えているのでしょう。まるで自宅で家政婦に命令しているような素振りです。上下関係があるようにふるまってしまうのです。
でも、海外においては違います。お客様も、コンシェルジュも、スタッフも対等な関係です。何かをお願いするときは丁寧にお願いするし、何かしてくれたらお礼をする。ですから、「してくれて当たり前」という態度は、グローバルに見てみると、とても恥ずかしいことなのです。
2. 「便利」と「満足」は一致していない
そういう点で、日本にはほとんどなくて、海外ではすでにある職業として、「カスタマーグロース」というものがあります。
日本だと「カスタマーサポート」という職業があります。でもこれは、「してあげることが当たり前」という概念から生まれる仕事です。お客様にいかに不便がなく、何でもしてあげるか、というのがサポートです。
一方、グロースとは「成長させる」という意味です。お客様が成長できるように関わるということなのです。
「便利」と「満足」は、じつは一致していません。
お客様にとって、いかに「便利な存在になるか?」は、重要ではありません。
お客様に、いかに「成長してもらうか?」ということが重要なのです。
ぼくは海外でのクルーズセミナーも企画していますが、現地集合、現地解散にしています。
すると、日本の旅行代理店に慣れているお客様から、こう言われます。
「え? 現地集合だなんて! 飛行機の手配はしてくれないんですか?」
ぼくは、安いチケットの探し方は教えますが、手配そのものはしません。
答えを教えるのではなく、答えの見つけ方を教えるのです。
これが自立型のコミュニティにつながると考えています。
関わりたい、という気持ちがあるのはいいことです。しかし、物事には物理的な限界があるので、それを踏まえて関わっていくことが大事です。
ですから、あなたが「直接してあげる」のではなく「相手が自ら考えられる機会」を用意しておきましょう。
ご縁というのは関わり合いで成り立つので、どちらか一方が関わるだけでは、ご縁はつくれません。
こちらが相手に関わったら、そのぶんだけ相手もこちらに関わってくれます。
関わりを遮断するのではなく、関わり合う場をつくっておくことが、コミュニティ主催者の仕事です。そして、お客様を成長させるという視点で関わっていくことです。
もちろん、コミュニティ構築の最初のステージでは、ここまで考える必要はありません。ただし、ある程度大きくなってくると、これを考えないとコミュニティ自体が存続しなくなってしまうので、自立型であることを意識してみてください。
「〇〇してあげる」という発想は、必ずしも必要ではない