
2年目のアンスイ。ドアを開けた瞬間に “feels like home”。
去年置いていったブリタや、小さな贈り物のこけし、ドライになった花までがそこに在り、オーナーのまなざしに手入れされていた。
名義はエアビーでも、関係が積もれば家になる。
そんな確かさを胸に、ここで拾い上げた5つのエッセンスを記します。
出典:ポッドキャスト「ライフトラベラーカフェ」
cafe.201 南仏暮らしの日々
▶ エピソード全文・音声はこちら → Listenで聴く
1. 帰属は「所有」より「手渡し」で育つ

私たちが置いていった暮らしの痕跡は、次の誰かの居心地になり、オーナーの温度と混ざって”家”へと熟していました。
帰属感は鍵の本数ではなく、受け取り合う小さな往復から生まれるのです。

あなたは今、どんな痕跡を「次の誰かの居心地」として手渡せますか?
2. 選ぶ水が、選ぶ未来になる
重いペットボトルと増えるゴミか、フィルターを替え続ける手間か。
ブリタを選ぶと決めたとき、私たちは便利さではなく循環に肩入れしていました。
暮らしの選択は、静かに未来の側を選ぶ行為なのです。

あなたの毎日の選択のうち、ひとつだけ「循環の側」に置き直すなら何ですか?
3. 土地の味が心身を整える

ルールマランの小さな名店で、探していた塩とカレースパイスに出会います。オーガニック野菜は驚くほど手頃で、そば粉のガレットを焼けば、体の声がすっと落ち着きます。
ここにいると和食への”安心の呼び戻し”をほとんど必要としません。素材そのものの力と、自然と静けさが、私たちを地に足のついた状態へ連れ戻すからです。

あなたの体と心を”すっとまっすぐ”に戻してくれる土地の味は何ですか?
4. ユニバーサルアポイントメントは、意図を放って手放したあとに来る

「出会ったら買おう」とだけ決めて歩いていたら、あの小さな店の棚に”ちょうど”が揃っていた。
ユニバーサルアポイントメント。
方向だけ決めて、握りしめすぎないと、偶然が仕事を始めるのです。
いま、あなたが”方向だけ決めて手放せる”テーマは何ですか?
5. 景色が仕事を耕し、暮らしが創造を深くする

執筆の手を止めて顔を上げると、ぶどう畑、麦畑、遠くの山。
外食が多い私たちが、ここでは圧倒的に家で食べます。
遅さのある環境は集中と回復を同時に育て、仕事は”進む”のではなく”耕される”のです。気づけば、拠点のひとつとして、この村が静かに定着していきます。

あなたの呼吸が深まり、仕事が”耕される”景色はどこにありますか?
帰る場所を生み続ける
鍵を返すたびに、ここは少しずつ”私たちの家”になっていく。
贈り、受け取り、循環し、偶然にゆだね、景色に耕される。その連なりの中で、私たちはまた帰って来られる場所を生み続けているのだと思います。

南仏の小さな村で見つけた、家になる瞬間の物語。
関係性が積み重なり、暮らしが根を張り、私たちは新しい帰る場所を手に入れました。