しつもんを使う上でとても重要なのが、「部下を信じる」ことです。
「急に部下のことを信じろと言われても難しい・・・」と思うかもしれません。
でも、ぼくがここで言う「信じる」というのは、「あなたが期待するような答えが返ってくることを信じる」ことではありません。
「部下の成長を信じる」ということです。

1. 部下を信じよう
それは言い換えれば、「どんな答えであっても、部下が考えた末に出した答えならば、それによって自ら行動を起こし、必ず成長していくことを信じる」ということです。
部下を信じることができると、いいことがたくさん起こります。なかでも一番のメリットは、部下がやる気になるということです。
なぜ、やる気になるのかというと、それが人の心理だからです。
自分に置き換えて考えてみてください。
誰かに「君を信じている」と言われるのと、「お前のことなんか信じていない」と言われるのでは、どちらが嬉しいですか?
どちらがやる気が出ますか?
どちらが頑張ろうと思いますか?
「信じていない」という言葉から、モチベーションが生まれることはありません。それはしつもんも同じです。相手を信じている状態で部下に問いかけたときに、初めて相手のやる気を引き出せるようになるのです。
2. 経験が浅い部下を信じるには・・・

ところが、ここからが問題です。
「部下を信じる」ことが大切だと理屈ではわかっていても、現実的にみれば、経験の少ない部下を信じるのはなかなか難しいでしょう。
しかし、上司のあなたがある状態になると、部下を信じることができるようになります。それは「自分が満たされている状態」です。
自分自身が満たされた状態にないと、余裕がなくなり、「人を信じる」ことは難しくなるのです。
ぼくは現在を含め、これまで4つの会社を経営してきましたが、しつもんの効果を実感する以前の会社では、心の余裕がなく、周りを信じることができませんでした。
それで会社を失ったことがあります。
借金を背負ったことがあります。
不安でいっぱいの日々を過ごしたことがあります。
そこでわかったのは、自分の心が満たされていない状態では、部下をきちんと受け止めることも、信じることもできないということでした。
自分が満たされていないと、イライラしたり不安になるので、言い過ぎたり、相手を責めてしまったりするのです。結局、その状態では、いい成果など生み出せないのです。
それに気づいてからは、「自分の心を満たすこと」「自分をいい状態に保つこと」を心がけるようにしました。
すると余裕が生まれ、自然と部下を信じることができるようになっていったのです。そして、その状態から出てくるしつもんは、どれも部下の成長へとつながる効果的なものばかりでした。
3. 上司自身の心の余裕が大切

では、「自分が満たされている状態」は、どうやって作り出したらいいのでしょうか?
ぼくは自分を満たすためのしくみを「シャンパンタワーの法則」を使ってお伝えしています。
シャンパンタワーとは、シャンパングラスをピラミッド型に並べて、上からシャンパンを注ぐセレモニーのことです。結婚式やイベントなどで見たことがあると思います。
ぼくはあのセレモニーを見て、これは人間関係のエネルギー循環と似ているということに気づきました。
まず、1番上のグラスを自分自身、2段目を家族や大切なパートナー、3段目を会社の仲間や部下、4段目をお客様に見立てます。
そうしたとき、あなたはどの段のグラスからシャンパンというエネルギーを注いでいるでしょうか?
たとえば、企業で働く多くの方はお客様を大切にしているので、4段目のグラスから一生懸命シャンパンを注いでいます。すると、4段目は満たされますが、その他が満たされません。
一方で、従業員満足度を高めている企業が増えてきました。そこで、自分よりも先に部下の心を満たすことで、従業員の満足度を挙げました。すると、その先にいるお客様の満足度につながりますが、まだ上のほうは空っぽです。自分や家族の心は満たされないままです。
では、全体を満たすには、どうすればいいのでしょうか?
もうおわかりだと思います。
全体を満たすためには、1番上のグラス、つまり自分自身のグラスを満たさなければなりません。
つまり、最初に満たすべきグラスは、お客様でも部下でも、家族やパートナーでもなく、自分自身のグラスなのです。すると、エネルギーが循環し、すべての段のグラスが満たされていくのです。
やっかいなことに、人は自分のグラスが空っぽの状態にあると、そのグラスを満たそうとして相手を攻撃したくなるという心理が働きます。人を攻撃すると、一時的にその枯渇感が埋まる感覚を得られるかもしれませんが、うまく循環していないので、結局もとの空っぽの状態に戻ってしまいます。
まずは、相手に問いかける前に、自分自身の状態を確認することが「しつもん者」として大切だとぼくは考えています。上司である前に、1人の人間として、「自分の心の状態」を意識しましょう。
4. 些細なイライラを放っておかない

自分が常にいい状態でいるためには、自分を客観視する習慣をつける必要があります。自分のシャンパングラスが満たされているかどうかを確認するということです。
これは難しいことではありません。
自分が「イライラしているかどうか」を感じればいいのです。
そして、少しでも自分のイライラを感じたなら、自分自身を満たしましょう。
たとえば、好きな音楽を聞く。
散歩に行く。
美味しいものを食べる。
本を読む。
外を眺める。
そんな些細なことでいいのです。そうやって、自分の心の状態を整えます。
自分に余裕が生まれれば、自ずと相手を信じることができるでしょう。
その状態が、上司として、そしてしつもん者としての理想の姿といえます。
しつもん力を最大限に生かすために、まずは自分の心を満たすことを大切にしましょう。
あなたはどの段のグラスからシャンパンというエネルギーを注いでいるでしょうか?

akaz says
昔に比べて自分自身に満たせるようになりました。
でも、他人のことを意識してしまい、自分以外のところから注ごうとすることもあります。
モモ says
自分自身が満たされていると感じるのは周りの人達と上手くいっている時ですが、自分で自分を満たせるようになりたいです。
KANAKO says
二段目から。。
千恵美 says
2段目からの事が多いです。
自分の事も大事にしようと最近思えるようになりました。