【世界のどこでも生きていく方法】
海外で生きる×自分の意志×自分らしく
海外ではどんなことがあるか想像もつきません。
そこで暮らすということを考えるとさらに想像を絶するでしょう。
文化も環境も価値観も全く違う場所で、
自分らしく生きていくには何が必要か?
様々な国で生き抜いた”生の体験と声”を聴くことが出来る、貴重な機会です。
日本で生きていくにも必要なヒントがたくさんあります。

しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション5A
▼登壇者情報
スピーカー/
山脇 恭子
一般社団法人mother earth代表
https://mama-supple.com
日高 有紀
ジュエリーデザイナー
https://www.instagram.com/blue_handmadejewelry/
黒柳 聖子
バストリシェイプセラピスト
質問家/
永田 佳奈
LIFEWORK COORDINATOR
https://ameblo.jp/lovekoji0318/
1. 「違い」をどうにかしようと頑張らない。それが、世界のどこでも楽しく生きていくコツ。
永田 佳奈(以下、永田):では、スピーカーの3名の方に、今どんなご縁で、世界のどこに住んでいるか、それぞれお話していただければなと思います。どうぞ。

山脇 恭子(以下、山脇(恭ちゃん)):山脇恭子と申します。今わたしは主人の駐在に付いてまず北京に行きまして、北京5年、上海8年目で、中国歴は13年になりました。もう血は入れ替わっておりますので、完全中国人になっております。よろしくお願いします(笑)。
黒柳 聖子(以下、黒柳(聖子ちゃん)):黒柳聖子と申します。ミヒロさんの「マウイセミナー」がご縁でマウイに住んでいます。よろしくお願いします。
日高 有紀(以下、日高(有紀ちゃん)):日高有紀と言います。インドネシアのバリ島っていうところに住んで7年目なんですが、インドネシア人の旦那さんがいまして、今子どもが1年生の子と3年生の子がいます。よろしくお願いします。
永田:ありがとうございます。今、その国でそれぞれどんな生活をされているのか、お仕事だったり、普段どんな風に過ごされているのか教えてください。
日高(有紀ちゃん):自分の仕事はジュエリーをバリ島で制作していて、それ以外に(手に持っていたポーチを見せながら)このWAKANAさんがデザインされている「ライフツリーカード」を入れるポーチとか、ミヒロさんの「ことはカード」とか、そういったデザインとか制作をバリ島でさせてもらっています。
黒柳(聖子ちゃん):マウイ島では、ほんとにのんびりと何もせず…………(笑)なんかそういう生活です(笑)。
山脇(恭ちゃん)・日高(有紀ちゃん):(笑)

永田:すっかりもうハワイに何十年も住んでいるように見えますね。そのマウイに住むようになるまで波乱万丈なことがあったとお聞きしています。ちょっとそのことを聞かせていただけたらなと。
黒柳(聖子ちゃん):マウイに住むきっかけは、入国のイミグレーションあるじゃないですか。あそこで、捕まっちゃったんですよね。で、それが自分は悪いことしてないから全然心配ないと思っていたんですけど、それで捕まって、そこで覚悟したっていう感じです(笑)。
永田:何の覚悟でしょうか?(笑)
黒柳(聖子ちゃん):マウイに住みたいっていう(覚悟)。それまでは何回か行ったり来たりしていて、見える状況が整ったらいつか行きたい……。ある程度お金がまとまったらとか、子どもが落ち着いたらとか、そういうのがありながら行ったり来たりずっとしてたんですけど。
最後に(マウイに)入った、そのイミグレーションで捕まって、そのときにもうどういう状況であろうと「マウイに行きたい!」って、そこから。
永田:それは何が原因で捕まったんですか?
黒柳(聖子ちゃん):行き過ぎたんですね(入出国の回数が多かった)。
永田:で、入れてもらえなかったんですか?
黒柳(聖子ちゃん):入れてもらえたんです。
そのとき2時間半くらい、いわゆる取り調べみたいなことがありました、ほんとに犯人扱いで。パスポートも携帯も取り上げられて、ちょっとしたメモ書きなんかも「これは何だ?」って感じですごく言われて。
そのときにほんと「自分はどうしたいか?」っていうのがやっと決断できて「マウイに行きたい」っていう想いを……、そうしたら行けるようになりました。
永田:そのままマウイに住むことにして、それで結婚されたんですか?
黒柳(聖子ちゃん):そうですね。
永田:ありがとうございます。恭子ちゃん。
山脇(恭ちゃん):今、上海で「子育て講座ままサプリ」っていうのをやらせてもらってて、もうみんな上海のお母さん。あとは、ミヒロさんのオンラインスクールで日本の方々にも子育てマインドっていうのをお届けしてるのと、上海のラジオ……全部「ままサプリ」っていう題名なんですけど、お話しさせていただいたりしています。
わたしは(主人の)駐在で初めに北京に行ったときは、楽しいだけだったんですけど、そのあと日本に帰って5年経って、日本でもお仕事してたんですけどね。そうするとまた”駐在”って言われるわけですよ。また中国行くって言われるわけですよね。
そうすると、「女性の人生って何なんだろう?」ってすごく考え始めまして。自分の思うようにいかないというか、作った人間関係も仕事もこうやって「いつも中断されるんだ」っていうことで、「上海行く」って言われたときも怒ってたんですね。
で、まぁずっと怒っててもしょうがないので、ミヒロさんの「魔法の質問」が転機になって、山形に行かせていただいて、それからですね。
自分のしたいことが回り始め、大学から心理学を専攻していたんですが、社会福祉士っていう感じで心理学をベースにした(活動を始めました)。やっぱり駐在員のママたちって同じように悩まれてる方がすごく多いんで。ベラベラしゃべってたらこういう感じになりまして、「ままの安定剤」とか「ままのビタミン剤」っていう意味で「ままサプリ」になりました。

永田:ありがとうございます。有紀ちゃん、さっきね、さらっと「インドネシア人の彼と結婚したので、インドネシアに住んでいます」っていうことだったんですけど、そこもけっこう波乱万丈な感じが(笑)。ちょっとお話ししていただけたらなと思います。
日高(有紀ちゃん):結婚したのは……えっと……2000……(恭子・聖子の方を見ながら)何年だっけ?(笑)
2008年か2009年くらいで、最初子どもができたんで、実家が愛知県なんですけど愛知県に(主人に)4年間来てもらいました。そこからバリ島に移住して今7年目なんです。去年の誕生日に主人が病気で亡くなって、まだ31歳だったんですけど。ちょうど1年半前くらいに亡くなって、でも日本に帰るという選択はほんと1ミリもなくて。そのまま子どもたちと一緒にバリに残るって思うんです。
永田:何がその1ミリも日本に帰る選択がなかったと思わせたのかな?
日高(有紀ちゃん):愛知県のけっこう田舎のほうなので、その地域の人たちしか付き合わないっていう環境なんです。バリだとほんといろんな宗教の友達がいて、うちはヒンドゥー教なんですけど。ムスリムの子もいれば、キリスト教の子と仏教の子もいるので。
それぞれ宗教によってお祭りごととかすごく多いんですけど、そういうのも全部子どもが小さいうちから「この子はヒンドゥーだからこうだよね」とか「この子はムスリムだからこうだよね」とかって受け入れられている環境がすごくいいなって思って。
わたしは31歳からバリに住んでいるので、なかなか違いを受け入れるっていうことが難しかったんですけど、もう子どもたちは小さいうちからそういういろんな文化とか、いろんな国の違いを受け入れられる環境っていうのがいいかなって思って。バリにいたいなって思いました。
永田:ありがとうございます。恭ちゃんはですね、メルマガをずっと読ませてもらっていて、3人の息子さんの子育てすごく大変そう……と。個性的なお子さんたちで、日本にいたときもすごく大変だったと思うんですけど、そこを乗り越えたコツ?というか、異国で子育てしたコツは?
山脇(恭ちゃん):う〜ん…………うちの長男がたぶんちょっとアスペルガーの気があるのと、次男が多動症で3歳児検診のときに診断されてるんですね。ま、でも全然大変じゃなくて。日本で過ごした5年間がいちばん大変でした。
なぜかというと、わたし一人で子育てしなきゃいけない状況で、3人が……、次男と三男は年子なんですけど、車から降ろすとみんな走っていく子で、もう車に轢かれそうになったり、川に落ちてみたり。ま、次男は車に轢かれてるんですけど実際に。
「すごい怖い」ってなって、車に轢かれたことがよくて、今生きてる感じなんですね。
なんでしょうね、このアスペルガーとか多動症って、アメリカでは「スターチルドレン」とか「レインボーチルドレン」とか言われてて、トム・クルーズとかスティーブ・ジョブズとか。ま、日本でもイチローとか黒柳徹子とか、天才みたいな方みんなそうなんですけど……。
中国とかもけっこうそういう概念はないんですが、なんだろうな。分けないかな、日本みたいに。なので、中国行ってからの方が楽に生活できてる感じですね。
中国人って基本的に人のこと気にしないんですね。自分軸なんですよ、すごく。そういう土壌があるのと、やっぱり海外に住んでみて思うのは、みなさん(聖子・有紀の方を示し)そうだと思うんですけど、日本は単一民族で、ほんとにこんな国は珍しいかなっと。
中国って51民族あって、すべてのテレビの字幕が北京語で書かれてて、もう全然わからないんですね。上海人も、しゃべってることがわからなくって。
上海人同士しか結婚できない制度があったり、地方の子と上海の子ができなかったり、違って当たり前なんですよ、文化自体が。なのでそんなに大変ではなかったです。

永田:ありがとうございます。それってどこの国によっても違うと思うんですけど、今、中国人は自分軸、人と違って(当たり前)というお話があったんですけど、インドネシアとマウイでそれぞれ「インドネシアの人ってこうだな」って感じるところとか、「マウイの人はこうだな」って感じるところはありますか?
日高(有紀ちゃん):中国と似てて、やっぱり日本人って、みんなと違うことをしていると学校で目立つというか、なんか言われたりするんですけど。バリは自由っていうか、きまりっていうものがあんまりないんですよ。学校も、日本はすごく厳しいなって思うんですけど、けっこうゆるいです。
時間とか守らないし(笑)。なんかよく行くマッサージがあるんですけど、「5時に行きます」って言ったら絶対5時にいないし。市役所にいるとか。翌日また5時に(予約を)取ってもまたいなくて、なんか警察にいるとか(笑)。
でも、それもイラッとするんじゃなくて、「それも仕方ないな」って、受け入れてイライラしないように。「そういう民族なんだな」って。
最初はやることすべてにイライラして、日本人と違うところが受け入れられなかった。4、5年くらい経って、だんだん。理解はできないですけど、そういうものなんだと思った方が楽だなって思って。受け入れることができるようになってきたかなと思います。
永田:聖子ちゃんどうでしょ?
黒柳(聖子ちゃん):自分に正直でいられる、それがすごく違うかなって思いますね。日本にいるときは、着たいもの……お洋服一つにしても、動き一つにしても、みんなに合わせたり、周りがどう思うかな?みたいなだったんですけど。
向こうに行ってからは、自分が「これが好き!」とか「これが食べたい!」とかほんとにどんどん自分を好きに……。みなさんそんな感じで。そのへんが全然違うかなと思います。
永田:聖子ちゃんが今伝えたいこと、バストケアから始まって、”自分を大事に”とか、”自分がやりたいことをしようよ”っていうメッセージを感じるんですけど、それはマウイに行ってより強くなったんですか?
黒柳(聖子ちゃん):そうですね、自分がやってきたからこそ感じるというのもありますし。向こうの人たちを見て感じる、両方あると思います。
永田:そういうことを伝えるお仕事を日本でしていて、まったくキャリアを捨てるわけじゃないけど、ご縁が薄くなるのはわかるじゃないですか、海外に行くと。それでも行きたいと?
黒柳(聖子ちゃん):いや、思わなかったです。築き上げてきたものを捨てる、家族を捨てる、親友を捨てるって、すごく……。サロンもしていたので、そのサロンの仕事も置いていく無責任さとか。やっぱりすごく悩みましたね。
で、目に見えた状況を整えてから行きたいと思っていたんですけど、さっきの話(イミグレーションで捕まった)の決断するときがあったので。そういう目に見えた状況は置いといて、「自分がどうしたいか?」っていうことで動いたんです。
永田:決断してから、解決しなければならないというか、整えなければならないことがたくさんあったように聞こえたんですけど、それはどのように整えていったんですか?
黒柳(聖子ちゃん):やっぱり子どものことが。「お母さん、1ヶ月マウイに行ってくるね」って言ったっきり帰らなくなっちゃったから、それがいちばんほんとにシンプルに心配。
「子どもがグレたらどうしよう」とか、「寂しさのあまり死んじゃったら」とかいろいろ考えて、それがいちばん不安だったんですけど。マウイの自然の中でほんと自分を自分でセッションするような形だったんですけど、やっぱり子どもは”親を選んでくる”というのが腑に落ちたというか。
「自分が自分らしく生きる」ことが、子どもにとっても(わたしのところに)来た意味がある。自分がいろいろ子どもに教育というか、教えてたことよりもそっちが大事かなって思って、やっと落ち着きました。
永田:そのあとお子さんとお話っていうのは?
黒柳(聖子ちゃん):会うまではいろいろ説明したり、わかってもらおうといろいろ考えてたんですけど、会ったら目を見て、触れて、それだけでよかったです。
2. 海外で自分らしく、楽に生きるコツは、「自分のやりたいことをはっきり言う」

永田:今回のタイトルが「世界のどこでも生きていく方法」っていう、そのヒントになるものをいくつかお話していただいたと思うんですけど。
このタイトルで「これは伝えたいな」とか、このタイトルで依頼が来たときに「これは……」っていうものがあれば、お話していただけたらなと思うんですが、恭ちゃんからお願いします。
山脇(恭ちゃん):わたしは自分の意思で中国に行ったわけではなかったので、このタイトルが来たときも「何を話そうかな?」って思ったんですが、だからこそ葛藤があって。やっぱりずっと怒ってたっていうかね。
環境……「なんで自分だけ10何年も中国から帰れないのかな」っていう腹立ててたところがあったんですが、今思うのは、2国を知ったということで自分の多様性がすごく広がったなって思えてるんですね。
子どもたちの学校の進路もそうですけど、たとえば日本で学校が全部不合格になったとしても「中国帰ってくればいいや」っていう感覚があったり。みんなそうなんですよ。近いし。2国が自分の国みたいな感じがあって、選択肢の幅がすごい広がったなって今思ってるんですね。
ま、自分以外は全部異文化だとわたしは思っているので。中国人も異文化ですけど、日本人だってわたし以外の人は全然違う考え方、価値観を持っていて。それが中国に住むことで、なんていうかな、頭じゃなくてわかった、腑に落ちた。
全然通じないんです、話が(笑)。人の家にドリルで穴空けて、びっくりして窓開けて「何してるの!?」って言ったら、「いやなんかケーブルテレビ引くって言ってるから」って言って、穴空けたまま帰っていくんですよ。それは分業なんですけど、「雨降ったらどうするの?」っていうくらい穴空いてるんですね、家に。
そういうことが日常茶飯事で行われてて、水漏れとかももう……。(今回のカンファレンスは)台風でね、すごかったですけど、あんなのしょっちゅう中国では起こっていて(笑)。で、直らないんですよね。
日本ってすごいなって思ったのが、すぐ直してくれるの、ホテルだったんで。そんなの(中国だったら)全然直らないし、耐えて生きていくしかないんですけど。それにいちいち腹立ててたんですが、それ、文化なんですよね。
中国の歴史、文化大革命とかいろいろあって、自分以外のことは信じられないって彼らはなっているので、国も信じられないし、社会も信じられないし、自分たちの親戚だけ信じて生きていくという文化なので。
それを理解したら、腹が立たなくなって。怒ってばっかりいたんですが、腹が立たなくなって、そしたらほんとに楽になりましたね。日本人同士もそうだし、中国人ともそうだし。「わかり合うんじゃなくて、認め合う」と思って生きています。
永田:ありがとうございます。聖子ちゃん、どうでしょう?
黒柳(聖子ちゃん):日本にいると遠慮してたりしても、だいたいわかってくれるじゃないですか。遠慮してるとか気を遣ってるとか。そういう”言わなくてもわかってるでしょ”という感覚がまったくない。海外に行くと。
なので、自分のやりたいことを、したいことをはっきりした方が、サポートとかもすごくしてくれたりとか、助けてくれたりとかね、いろいろしてくれることもあるんで。
やっぱり気を遣う、遠慮するとか、そういうことはせずに、はっきりしていた方がいい気がします。
日高(有紀ちゃん):やっぱり「違いを受け入れる」ということかなと思うんですけど。日本にいると、日本の文化とか日本での普通ということしか知らないと思うんです。たとえば子ども……、赤ちゃんでもピアス空けてて、公園とか行くと、すごく言われるんですよね。
日本だと「子どもなのに、なんでピアス空けてるの?」と言われるんですけど、逆にその子がバリに来たら「え、なんでピアス空けてないの?」ってなるんですよ。
バリだと赤ちゃんもピアスを空けるのが普通だけど、日本だとそれはあり得ないじゃないですか。だからその辺はもう文化の違いとか、習慣とか。どっちがいい、悪いとかもないし、そういうのを受け入れると、スムーズかなと思うんですけど。

永田:「違いを受け入れる」ということがお三方から出てるんですが、さらに受け入れて、楽しんでるようにわたしには見えるんですけど、楽しむコツはどうでしょうか?
日高(有紀ちゃん):楽しむコツですか…………?(困った感じで 笑)
え?なんだろう?楽しむコツですか。あんまり深く考えないことです(笑)。なんか、感じるものを大事にしてます。
永田:聖子ちゃんはどうでしょうか?
黒柳(聖子ちゃん):楽しむコツですね。楽しむコツは、付き合いなんですよね。ほんとに行きたいときだけ行くっていう。
だから、ほんとに自分が求めているものがはっきりするし、行ったらやっぱりよかったって。日本だと付き合いで行くものが多いから、「ハァ、もう疲れた」とか。
ほんとに自分が求めたものがもらえる、そういうのが楽しいです。
永田:普段どんなふうに過ごされてるんですか?好きな人とだけ付き合うという感じですか?
黒柳(聖子ちゃん):うん、そうですね。前は誘われたらとりあえず「行っておこうかな」とかいろいろありましたけど、今は行きたいときに行くし、ドタキャンもいっぱいあるんですよ。みんなお互い。「今日は気が変わったから行かない」とか。
日高(有紀ちゃん):バリもそうですね。
黒柳(聖子ちゃん):ね。そういうのができるのがほんとに幸せですね。日本だと絶対できない。
永田:日本だと「わたしのこと嫌いだからドタキャンするのかな」とか「ドタキャンされた」ってけっこうショックなんですけど、するのもされるのもOK?
黒柳(聖子ちゃん):OKですね。
山脇(恭ちゃん)・黒柳(聖子ちゃん)・日高(有紀ちゃん):(永田の反応を見て 笑)
永田:恭ちゃんはどうでしょうか。
山脇(恭ちゃん):そうですね、みなさんの言ってるとおり中国もそうなんですけど。
こないだ講座を中国人の前でやらせてもらおうと思って、中国人のところに打ち合わせしに行ったら、「あのね〜、先生ね、たとえば50人申し込みあったとするでしょ。当日来るの3人なんですよ」って言うんですよ。
「はぁ?」ってなって(笑)。「なんで50人申し込みあるのに、3人なんですか?」と聞いたら、「中国人はそんな感じ。雨が降ったり、その日の気分で来ないから、登録してても来ないよ」って。「それでもよかったらやります」と言ってくださったんですけど、そんなアホみたいな講座はやりたくない(笑)。
だから、やっぱり日本人ってすごくて。わたしはすごく日本人であることに、海外に行ってから誇りに思っていて。仕事は絶対日本人とやりたいです。
もう中国人とはできない!(笑)。認めてますけど、やっぱり仕事となるとすごくこう不便が出てくるんですね。日本人ってほんとに信じられて、素晴らしい国民だなって思うんです。
ただ、そういう素晴らしい国民だからゆえに、わたしたちが常識と思ってることは世界の常識じゃなくて。ほぼほぼ日本だけで通用する概念ってたくさんある。ドタキャンはあるし、時間は守らない。
時代とか国が変わると変わるものって、もうなんか縛られなくていいんじゃないかなって思っていて。中国に行ったとき、ほんとにびっくりしたのが、どこでもご飯食べますよね。接客してるのに、食べ始めるんですね。なんか麺すすりながらしゃべったりするし、カバンとかその辺の市場で誰かが買おうとしたら「(カバンが)汚れてる」って言ったら、金魚の入ってる水槽の水で拭いてとか(笑)。
ま、それはね、笑い話なんですけど。なんだろ、初めは、日本で絶対日本人はしないよねということにすごくとらわれてたんですけど、なんか別に……。ま、そういう金魚の水で拭いたらダメですけど、「どうでもいいかな」と思えることが多くなってきて、わたしの幸せのハードルが下がったんですね。
なので、すごく生きやすくしてくれたなというのは思っています。日本は幸せのハードルが高い国だと思います。
(今回の)ホテルの台風への対応を見ててもそうだし、できて当たり前のアベレージがすごく高い。それはすごい幸せでもあるし、ある意味、できなかったときの不幸とか不便を感じることは、わたし自身すごくあった。中国との落差で、もう何年もかかりました。ずっと思ってましたから。
ようやく最近、どこも一緒かなと。いろいろアジアとかも旅行に行くんですけど、まぁたいがい一緒。日本が特別。そう思えたことが宝、財産かなと思っています。
永田:コツというのは、「幸せのハードルを下げる」ということですかね。ありがとうございます。
3. 文化や価値観、相手のスタイルを変えようとするのではなく、「そうなんだ」から始める。

永田:楽しむために大切にしていることって何ですか?
日高(有紀ちゃん):楽しむためにですか?ほんとに小ちゃいことでも感謝することですかね。やっぱり母子家庭なので、子どものことが忙しくて、でも仕事もしないといけなくて。両方忙しいという感じで、ほんとに時間がないんですけど。
お手伝いさんとか義理の家族、お友達とか近所の人とか助けてもらうことがすごく多くて、それがないと海外で家族をもってやっていけないかなと思うので、みんなの助けがあってほんとに生活できてるなってことに感謝しています。
永田:みんなで育てているという感じなんですかね?
日高(有紀ちゃん):そうですね。日本だと核家族が多いというか、子どもはわたしのものっていうイメージが大きいと思うんですけど。バリには義理の、旦那さんのお姉さんとか親戚が近くにいるんですけど、まだ赤ちゃんのときに、わたしに声をかけずに勝手にどこかに連れて行ったりするんですよ。
それで「いない!」ってなって。わたしには弟がいるんですけど、姪っ子とかをちょっと公園に連れて行くとかコンビニに連れて行くとか、絶対声をかけるじゃないですか。「ちょっと連れて行くね」って。それが(バリは)なくて、気づいたらいない、ということがすごく多くて。
だから、子どもはわたしのものだけど、みんなで育てるっていうか、境がない感じですね。
永田:そんなことを恭ちゃんのラジオでも話されてませんでした? 中国は「子どもは宝」だから……。
山脇(恭ちゃん):そうです。中国は「宝宝(バオバオ)」って書くんですけど、子どもは国の宝で、みんなで育てるんですね。だから、わたし最初に日本で子育てしたときがいちばん大変だったって言いましたけど、レストラン連れて行って(子どもが)泣くと、すごい冷たい目でサラリーマンのおっちゃんとかに怒られるんですよ。
「なんで、こんなところに小ちゃい子連れて来るんだ!」って言われたこととかあるんですけど、中国では絶対なくて。というか、街中うるさいみたいな(笑)。
声も聞こえないくらいうるさくて。それは中国の文化があるんですけど、レストランで食べるときに「大声で食べないと消化に悪い」っていう文化が。
日高(有紀ちゃん):しゃべりながら食べる?(笑)
山脇(恭ちゃん):しゃべりながら食べないと怒られるんですよ。それって、ほんとにそうなんですね。消化に悪くて、だから大声でみんなしゃべるんですね。
一人で食べるなんて、もっての外で、わたしはよくお昼に一人でごはん食べているので、怒られるんです、中国人の人にね。「なんでそんなに寂しい食べ方してるんだ?」って。みんなで食べる……って、ちょっと話がそれましたけど(笑)。
「宝宝」って呼ばれてるので、その子たちがレストランで大声騒いでたりしても、怒られないんですよ。そういう文化があるので、「しゃべれ、しゃべれ」と言われて育っている。
うちの子たちを連れていっても、店員さんが抱っこして厨房に持って行ったりするんですね。で、骨つきの肉をガブって加えて戻ってきたり、りんごをもらって帰ってきたりするんで、すごく楽でしたね。
だから、「あなたは食べておきなさい、わたしたちが(子どもは)見とくから」ってみんな子どもが大好き。一人っ子なんで、子ども見たらもう「宝宝」とか「宝(バオ)ベイ」とか言うんですけど、みんなでいじくる文化がありますね。
日本はもうどちらかというと、「その人の子どもだから口出ししたりすると失礼」という文化がありますけど、違うんですね。

永田:では、最後の質問です。
今まで異国に住んで、これはすごい衝撃的だったとかびっくりしたっていう事件が何かあれば、一つシェアしていただけたらなと思うんですが。
先ほどちょっと、金魚の水で(売り物のカバンを)洗ってたとか、もしかしたらそれは序の口かもしれないんですけど、何か「えぇ〜!」っていうびっくり事件を。
日高(有紀ちゃん):バリに住んでけっこうすぐのときに、実家に半年くらい住んでたんですけど。旦那さんのお姉ちゃん家族も住んでいて、一応わたしたち夫婦の部屋と、一つの家で部屋が分かれてたんですけど、普通に部屋に入ってきて冷蔵庫のものを取るとか、服を使ったりとか物を使ったりっていうのは当たり前で。
いちばんびっくりしたのは(笑)、旦那さんの長袖の服が1枚だけあったんですけど、それをお姉ちゃんが勝手にハサミで切ってノースリーブにして着てたんですよ(笑)。長袖の服は1枚しかなくて、探しても「ないない」ってなったら、お姉ちゃんがノースリーブになったその服を着てて。
人のものをハサミで切ることが悪いって思ってないんですよね(笑)。バイクに毎日乗るんですけど、お姉ちゃんは日焼けが嫌で手袋をするんですよ。わたしが庭の掃除用に買ってきたかわいい手袋があるんですけど、それが「ないない」って探してたら、(指の先端部分を)ハサミで切って、バイク用の手袋として使ってたんですけど。けっこうそうやって勝手に服を切ったりとか、長いスパッツをショートパンツみたいにして切って(笑)履いてたりとか、勝手にそういうことするんですよね。
でも、それを悪いって思ってないんですよ。”家の中にあるものはみんなのもの”みたいな。子ども(の扱い方)みたいな感じなんですけど、人のものっていう感覚はあまりなくて、それはすごいびっくりしました。
永田:そのとき有紀ちゃんはどうしたんですか?(笑)
日高(有紀ちゃん):言葉を失いましたね。
会場:(笑)
日高(有紀ちゃん):人にも言えなくて。なんかもうそのままですけど、びっくりしました(笑)。
永田:他にもそういった同じようなことが、いくつもあった感じですか?
日高(有紀ちゃん):けっこうそういうことは多くて。旦那さんと二人でゲストハウスを建ててそれを経営してたんですけど、旦那さんが亡くなったときに、お葬式が終わった翌日に「わたしたちが住むからもうもらうね」みたいな感じで、今住んでるんですよ(笑)。
一円もお金出してないんですけど、それもほんと自分たちのものって思ってるみたいで。やっぱりその辺の”家族の垣根”っていうか。日本って結婚したら……新しい家族がいるじゃないですか。でも、わたしの旦那さんは結婚しても元の家族のものは元の家族のものっていうか、こっちのものは全部元の家族のものっていう感じで、その辺はびっくりしましたけど。ほんとそういう感覚なんですよね、悪いって思ってない。
永田:悪いと思ってないから、誰にも言えなかったんですか?
日高(有紀ちゃん):言っても悪いと思ってないから通じないんですよ。だから、諦めるしかない、そういう感じです(笑)。
永田:ありがとうございます。聖子ちゃんはどうでしょうか?
黒柳(聖子ちゃん):あまりびっくりはないかもしれないです。ただ、下着とかを着けなさすぎて、そこはちょっとびっくりしますね。洋服屋さんに入って試着するってなったときに、脱いだら何にも着てないんですよ。
日高(有紀ちゃん):パンツも?
黒柳(聖子ちゃん):パンツも。「(目を見開いて)あら〜!?」みたいな感じはありましたね。あとは、働き手と……う〜ん、どっち?働く人と働かされてる人?
永田:雇う人。
黒柳(聖子ちゃん):雇う人?が日本と逆転してるから、祝日のときは全員休みとか、店が全然開かないんですよ。みんな働く人が守られている。
日本だと誰かが出るとかありますよね。そういうのが全然なくて、全部休みなんですよ、クリスマスとか。ああいうのはびっくりですね。

永田:ありがとうございます。恭ちゃんはどうでしょうか?
山脇(恭ちゃん):いろいろありすぎて……。ちっちゃいことから言うといっぱいありすぎるんですけど……、やっぱり医療かな。
中国の医療が劣っているわけではなくて、けっこう進んでるところはあるんですけど、なんせ適当なんで。たとえば縫うとかもジグザグに黒い糸とかで(笑)。交通事故でここ(額を示して)切っちゃったんですけど、黒い糸で縫われたりね。女の人なんで、ちょっと(笑)。「すぐ抜糸するから」って言われましたけど、しばらく黒い糸だったし。
骨折とかしたら、みんな中国の病院には連れて行きたくないって言うのが、無理やり……ちょっと曲がったままくっついちゃったりするところがよくあるんですよ。
これは別に医療が劣っているわけではなくて、いい加減なところからきてるのかなって思います。
北京に行ったときにSARSっていうのが流行りまして、いちばんわたしたちが嫌だったのが、それにかかると収容所に入れられちゃうっていう。先ほどから言ってるように衛生面とかあまり気にしてないんで、換気口から全部空気が一緒なので、第二次感染が起こりますよね。SARSは感染るので、「そういうところには行きたくない」って必死になって(笑)、うがい手洗い、あと消毒液で周りのものを鬼のように拭いてましたね。収容所に行きたくない!
医療面はそういうびっくりな話はよく聞きますね。
永田:お子さんは向こうの病院に行ってますよね?
山脇(恭ちゃん):次男三男は向こう(中国)で産んだんですけど、でも外人専用のVIP対応の病院だったんで、それはむしろ日本より全然(よかった)。家族同室で、ワインとか出て……というところなんですね。
中国の病院には行きたくないなというのはありますね。すっごい混むし、すっごい待つんですよ。わたしたち外人なのでその辺は受け入れられるんですけど、やっぱりローカルで一人で来た人とかは帰りますね、みんな。
骨折した人も骨折したまま帰るという(笑)ことは行われております。
永田:今日はありがとうございました。みなさまありがとうございました。
これで、最後のセッションを終わらせていただきます。
会場:(拍手)
・どこでも生きていくには何が必要なのか?
・自分らしい選択とは何か?
・自分の価値とは何か?
しつもんカンファレンス
2019年11月9日(土)10日(日)
上記の魔法の質問に答えてみる