これまでたくさんのお母さんたちのこんな声を聞いてきました。
「イライラすると、つい、子どもに当たってしまう」
「本当は怒りたくないのに、子どもを責めてしまう」
お母さんたちも、心の底では「穏やかで優しいお母さんでいたい」
「怒らずに、子どもをのびのび育てたい」と願っていると思います。
しかし実際は、きちんと子育てをしたいと思えば思うほど、イライラしてしまうようです。
ここでは効果的な質問を使って、
そんなお母さんたちの悩みを一緒に解決していきたいと思います。
1. 無意識のうちに子どもは自分と同じ人格だと思っている
子育てをしていると、お母さんはなぜイライラしてしまうのでしょうか?
イライラしてしまうのには、いくつかの原因があるようです。
母親の体内で、子どもはへその緒でつながっていました。
もしかしたら、意識しないところで「子どもの人格=自分の人格」と思っていて、
そのために子どもを自分が思う方向に導きたくなるのかもしれません。
でも、実際には、子どもは親の思い通りにはなりません。
だから、イライラしてしまうことがあるのです。
お母さんたちも、頭では、
「子どもは自分の想い通りにはならない」ということをわかっているはずです。
子どもの個性を大切にしたいと思っているし、「自分と子どもは別」と理解してもいるけれど、
もっと深い無意識の部分では、「自分と同じ考えを持ち、自分が望むことをしてくれるだろう」
と考えているのではないでしょうか?
2. 心と時間に余裕がない
イライラする理由その2は、余裕がないからです。
ここでいう余裕とは、時間的な余裕と心の余裕のことを言います。
現代のお母さんはとても忙しく、時間の余裕も心の余裕もあまりないことが多いかもしれません。
そして、この余裕は、子育てにおいてとても大きな影響を与えているのです。
たとえば、何も予定のない休日の朝に、
子どもが楽しそうにテレビを観ながらゆっくり朝食を食べていたら、幸せを感じるかもしれません。
それが平日の朝、子どもを保育園に預けるために7時半には家を出なければならないのに、
7時15分になっても子どもがのんびりごはんを食べていたらどうでしょう?
かなりイライラしてしまうのではないでしょうか。
子どもがテーブルにジュースをこぼしても、
休みの日なら、多くのお母さんは余裕を持って対応できるでしょう。
でも、保育園や幼稚園に向かう前に同じことが起こったとしたらどうでしょうか?
たとえ子どもが同じことをしたとしても、
余裕のあるときとないときでは対応が変わってくるはずです。
時間的な余裕がなければ、心の余裕は持てません。
もちろん、時間的な余裕があっても、心の余裕がない場合もあります。
じっくり対応する時間的な余裕がない。やさしく対応する心の余裕がない。
日常生活の中のイライラのほとんどは、そうした余裕のなさからきているのです。
3. 子どもに期待しすぎている
3つ目の原因は、子どもへの期待が大きすぎることです。
ほとんどの親は、自分の子どもに大きな期待をかけています。
期待とは自分の大切な人にかけるもの。
自分とまったく関係のない人に期待する人はいないはずです。
赤の他人には何も期待しないので、その人が何をしようと気にすることはありません。
その人が何もできなくても、冷静に見ることができます。
しかし、我が子はそうもいきません。自分の子だから、関係があるから、つい期待してしまう。
その期待がお母さんをイライラさせるのです。
お箸を上手に持てない、後片づけができない、
お隣の〇〇ちゃんはもうひらがなを読めるけれど、うちの子は全然読めない。
そうなってしまうと、「私がもっとがんばって、ちゃんとさせなければ」
「あの子ができるならうちの子もできるはずなのに、どうしてできないの?」とイライラして、
怒ってしまうのではないかと思います。
その他にも理由はあるかもしれません。
でも、イライラの元を探ると、その多くはこの3つの原因によることが多いようです。
子育て中のお母さんがイライラしてしまうのは、ある程度は当然のことなのかもしれません。
ただ、仕方がないのだから、イライラしながら子育てをしていけばいいのかというと、
それも大変です。
イライラの原因がわかれば、それに対処することは可能です。
では、イライラしないようにするためにはどうしたらいいのか。
今度はそれを見ていきたいと思います。
4. 自分への問いかけで本当の気持ちが見えてくる
イライラしないためには、イライラの元になっている原因に向き合い、
自分自身の本当の思いに気づく必要があります。
そのためにはどうしたらいいのでしょう?
実は、こうしたことの解決に質問がとても有効なのです。
一般的に、質問は人と人とのコミュニケーションツールと思われがちです。
しかし、質問は自分自身との対話にも大きな効果を発揮します。
そして、この自分自身との対話が、イライラしない子育てをするために大変重要なのです。
自分の考えや本当の思いは、案外わからないものです。
それは、自分の本心は、いつも心の奥に上手に隠されているからです。
もし怒りを感じて、なぜその怒りが湧いてきたのかを理解したいと思うなら、
自分自身に質問してみることです。
自分に質問すると、自分の本当の思いや考えていることが客観的に見えてきます。
逆に、自分自身に問いかけなければ、
本当はどう考え、何を感じているかを知ることは難しいと思います。
自分の本当の思いに気づくには、自分自身への問いかけが最も有効なツールなのです。
また、質問は理想の行動を起こすきっかけ作りにも使うことができます。
たとえば、ぼくも親になったとき、子どもとどんな関わり合い方をしてきたいかという
自分の理想を明確にするために、自分に質問をしたことがありました。
「子どもとどんな関わりを持てたらベストだろう?」
「どんな言葉をかけてあげたらいいだろう?」そんなことを自分に問いかけてみたのです。
「子どもとどんな関わりを持てたらベストだろう?」という質問の答えは、
「娘と対等な関係を築く」でした。
「どんな言葉をかけてあげたらいいだろう?」の答えは、最初は自分で考え、
娘が話せるようになってからは、「どんな言葉が良くない言葉だと思う?」
「どんな言葉を言われたら嬉しい?」と質問して、一緒に答えを見つけていきました。
娘は、「頭いいね!」「天才だね!」と言うととても喜ぶ子だったので、
意識してそれらの言葉を使うことで娘もぼくも笑顔になることがたびたびありました。
自分がどんな子育てをしたいのかが明確に見えてくると、
人はそのときどきの感情に左右されることが少なくなります。
だからこそ、最初に「こうありたい」と決めることはとても大切なことだと感じています。
自分自身に問いかけることは、自分のほんとうの気持ちに気づき、
自分の理想のあり方を知る大切な機会になります。
・そもそも子育てって何だろう?
・怒らないで伝える方法は何だろう?
・自分がどんな状態だったら、子どもを伸ばせるだろう?
・どんなときに余裕ができるだろう?
・心が満たされると何が起こるだろう?
・なかなかそれができないのはなぜだろう?
上記の魔法の質問に答えてみる