部下には、自分から積極的に成長してもらいたいものです。
でも、なかには消極的になってしまっている部下もいます。それによって、自分で成長の芽を摘んでしまっているのはもったいないことです。
そういう場合には、上司からのしつもんで、部下の中に眠っている「積極性」を引き出して上げましょう。
しつもんは、その部分に働きかけることができる最高のツールです。

1. 「どのくらい」を数値で表す
営業などの職種の場合、仕事上、数字に対する意欲が求められるケースがあります。
ただ、新人の頃は、「今月の目標」と言われても、その件数や金額が実際に達成できるのかどうか、どのくらい頑張ったら到達できるのかもわからないことが多いでしょう。
まず部下に意識してもらいたいことは、常に「その時点での自分の達成度を数値で把握する」ことです。
「今、目標の何%達成してる?」
というしつもんで、数字を認識してもらうようにしましょう。
もし、目標に対して何%まで達成しているのかすぐに答えられない場合は、現状把握ができていないということです。
通常、人は意識していないことは行動に結びつきにくくなるので、その状態では目標を達成することが難しくなります。80%まで達成しているのか、まだ40%なのか、現状を把握するように促しましょう。
このしつもんをする頻度を上げていくと、部下に数字を意識する習慣がついてきます。
理想的な使用頻度は業種にもよると思いますが、1ヶ月に1度よりは、週に1度のほうがより効果が上がると思います、可能なら、3日に1回でもいいでしょう。これは、無意識だったことを、意識あるものに変えることが目的です。
また、数字の目標は、その目標を細かく刻んで達成しやすい数字にすることで、より具体的な行動を生み出すことができるようになります。
たとえば、年間の売上目標が1000万円の場合、1ヶ月、1週間、1日と細かく落とし込むことで、するべき行動が見えてくるでしょう。
どうしたら小さな成功体験を積んでいけるかを、部下と一緒に考えることも必要かもしれません。
今、目標の何%達成してる?
2. 部下の「やる気のもと」を知る

仕事になかなかやりがいを見いだせない部下がいます。
実際、本当にやりたい仕事に最初から就ける人はそう多くはないと思います。
しかし、上司としては、たとえどんな仕事であっても、部下にやる気を持ってもらいたいという思いがあります。そんなとき、ぼくはその人の「やる気のもと」を知るようにしています。
それを聞くには、
「どんなときにやる気が出る?」
としつもんするのがいいと思います。
たとえば、「認められた」と感じるとモチベーションが上がる、少し困難なことでもやりがいのある仕事を任されるとやる気が出る、自分の得意なことをしているときは何時間でも本気で取り組めるなど、人によってやる気のもとは違います。
上司として、部下のやる気のもとを知っておくことが大切です。
ぼくの体験談ですが、いつも事務所で仕事をお願いしている女性に、このようなしつもんをしてみたとき、「お客様の声を直接聞きたい」と言われたことがあります。「実際にお客様の声を聞いて、自分が役立っていることを実感したい」ということでした。
そこで、お客様の声を直接聞くことができる場面を設定したところ、それまでよりも仕事への具体的な働きかけが見えるようになり、本人の満足度も上がりました。
部下のやる気のもとを知ったとしても、職場によっては、それをすぐに叶えることはできないかもしれません。ただ、部下のやる気のもとを知っているのと知らないのとでは、かかわり方が変わってくるでしょう。
あきらかにやる気が見られない様子の場合でも、「やる気あるの?」と聞くのはお勧めできません。これは相手からやる気を削ぐ質問です。そこからは何の改善策も生まれませんし、部下の成長にもつながりません。
どんなときにやる気が出る?