会話が苦手だと感じる人のいちばんの悩みは、話がとぎれ沈黙が訪れる瞬間でしょう。
沈黙を埋めようとして頭が真っ白になってしまったり、言わなくてもいいことまで口にしてしまって、後悔するといった経験を持つ方も多いでしょう。

1. 沈黙はあったほうがいい
なぜ人は沈黙が怖いのでしょうか。
それは、会話を言葉と言葉のやり取りだと思っているからです。
相手との会話では話をしなければならないと考えてしまうため、話がよどみなくつづいていないといけないという強迫観念が生まれます。
そうすると、言葉がとぎれる沈黙を「会話が終わってしまうこと」「会話がつづかないこと」と勘違いしてしまうのです。
沈黙は会話の一部です。
すべてのことに言えると思いますが、絶えず流れつづけているものなど、あまりないのではないでしょうか。
すべてのものには「間」があり、だから会話にも沈黙があっていいのです。むしろ、沈黙があったほうがいいとさえぼくは思っています。
2. 沈黙はアウトプットの瞬間

沈黙が生まれるのは会話の糸口を見失ってしまったとき、あるいは会話のゴールが見えなくなってしまったときです。
ただ、そのほかにも沈黙の瞬間はあります。
それは、相手が黙って考えている時間です。何かを語りたいけれども、迷ったり悩んだりしているので、すぐには言葉が出てこないのです。
以前、こんな会話をしたことがあります。
相 手「今の会社に残るべきか、辞めるべきか悩んでいるんだよね」
マツダ「大変なんだね」
相 手「今の会社には不満はないんだけど、かといって満足感もないし・・・」
マツダ「じゃ、辞めるとしたら何がしたいのかな?」
相 手「新しいことをやろうと思うんだけど、実績もないし・・・」
マツダ「なるほど」
相 手「・・・」
それっきり、相手は黙ってしまいました。
そんなときに、こちらが沈黙を破って言葉を発したり、早く答えを出すよう催促するような発言をしたら、相手の思考は止まってしまいます。
いわば、沈黙はインプットがアウトプットに変わる瞬間だと考えてみてはいかがでしょうか。
相手が沈黙したら、こちらも黙って待つことも、会話の質を上げるためには大事なことなのです。会話の相手がじっくりと考えるための時間を与えてあげて、相手が次の言葉を発するまで気長に待ちましょう。
彼はその後、「考えた結果、この会社でまだできることを発見しました」という答えを出しました。
沈黙のあとに相手が発する言葉には、思いのほか良い表現や、大切な考えが含まれていることが多いものです。
沈黙を大事にしていますか?