ビジネスシーンでは、とくに営業のようなお仕事をしている場合には、心を開いてもらえない人に会って話をしなければならないことがあります。
ぜひ会いたいと思っていた企業の経営者にやっとのことでアポイントが取れたとしても、電話での対応を聞いているかぎり、先方はぜひとも会いたいというわけではなく、話だけは聞いてやるという雰囲気だった・・・ということもあるでしょう。
実際に会ってみても、ようこそいらっしゃいましたという感じではないかもしれません。こうしたケースでは、あなたはどんな思いで商談に臨みますか。自分の話を聞いてもらえそうもない、いやだなぁと思う先入観を持っていませんか。

1. 行動にフォーカスする
苦手程度の先入観ならまだしも、なんでこんなに無愛想なんだ、と怒りにも近い拒否感を持ってしまうこともあるでしょう。
そうしたマイナスの感情は、会話にブレーキをかけ、自ら話しづらい空気をつくることにしかなりません。
まずは、この人はなぜ自分に会ってくれたのだろうかということを考えてみてください。そもそも、本当に嫌だったら会いません。何かしら期待感がなければ、わざわざ時間を取ることなどしないはずですから。
まずは、忙しいところを自分のために時間を割いてくれたことに感謝しましょう。そうすれば、素直に「お時間をいただきまして、ありがとうございます」という言葉が心の底から出てくると思います。
それでも一向に口を開いてくれない場合は、思い切ってしつもんしましょう。
「お時間をいただけた理由は何ですか?」
相手の期待感がどこにあるのかをつかむことが大事で、そこさえつかめれば会話は広がっていくはずです。
ある営業職の方がおっしゃっていました。
「相手の悩みを知らないと、商品は提供はできない」
裏を返せば、どんな相手にも必ず悩みがあり、それを解決してもらいたいという期待感があるのです。
こちらも時間を無駄にさせるつもりはないということをわかってもらい、相手の期待に応えようという気持ちで、その商談に前向きに取り組みましょう。もちろん、方法論が合わない、社風に合わない、採算が合わないなどの理由から、商談がうまくいかないことも多いでしょう。
本当にただただ苦痛を感じるという、苦手なタイプの人、極端に無口な人が相手で会話がうまくできそうもないときは、行動だけにフォーカスして、相手がイエスと答えるしつもんで粛々と話を聞いてみるしかないでしょう。
「売上を上げることに興味がおありではありませんか?」
「経費削減にご興味をお持ちですよね?」
こうしたことに興味がなければ、そもそも会う必要がないですよね?
2. whoではなくdoで見る

また、上司や同僚といった職場の人間関係においても、どうしても合わない、苦手だと感じる人がいるのは悩みどころです。ムリに話す必要もないのですが、ちょっと見方を変えるだけで、ぐっと楽に接することができるものです。
そもそも、その人のことがなぜ嫌いなのでしょうか。
嫌いな理由を探ってみると、意外と些細なことだったというのはよくあります。まずは、その相手を嫌いな理由を見直してみましょう。たとえば、明日までに書類を出してくれないなど、その人のずぼらなところが嫌いだとします。
ほかには?
ほかにないうようでしたら、今まではその1点から相手の人格のすべてが嫌いということになってしまっていたということになります。そのことに気づけば、その人が嫌いなのではなく、その人が期日までに書類を出してくれないことが嫌いなのだということにも気づくことができます。
whoではなくdoに着目してください。
その人と行動を切り離して考えることができれば、その人の良いところが見えるようになってくるはずです。
3. なぜこの人と会話をしているのか考える

初対面の相手でも、どうしても嫌いなタイプの人、苦手だと感じる人と会話をしなければならない場面があります。前のケースとは異なり、会話の相手を嫌いな理由はありません。
もちろん、できるだけ先入観を持たないほうがいいのですが、こうした生理的な問題の場合は、そう感じてしまったらどうすることもできません。
そのようなタイプの人と向き合うにはどうすればいいのでしょうか。
これはもう、機械的にゴールにフォーカスするしかありません。
会話の相手ではなく、自分がやるべきこと、自分が向かうべき道、自分が達成すべきことだけに意識を向けるのです。そのためにはまず、なぜこの人と会わなければならないのかということを考えましょう。そうすれば必然的にゴールにフォーカスできると思います。
「なぜ会っていただけたのですか?」
「商談が終わったときにどうなっているのが理想ですか?」
「今、お困りのことは何ですか?」
しつもんをして、その答えをひろって、会話を広げる。この一連の行為を、粛々と推し進める以外に方法はないと思います。
・お時間をいただけた理由は何ですか?