
パリでの暮らしが、ようやく落ち着いてきた。
気づけば3週間。熱波が過ぎて、日々のリズムが戻ってきたところで、ぼくらはひとつ、いい発見をした。
それは、歩いて6分のところにあるビオマルシェ。
そこから始まった一週間が、思いのほか豊かだった。
出典:ポッドキャスト「ライフトラベラーカフェ」
cafe.242 小さな喜びをつくる
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1. 歩いて6分のマルシェに、なぜ行かなかったんだろう
日曜の朝、久しぶりにマルシェで買い物をした。
野菜とキノコと、少しだけ果物。並んでいるものの生き生き感が、スーパーとはまるで違う。その野菜を程よく毎日食べながら、自炊がおいしくできた一週間になった。
おもしろいのは、そのマルシェが家から歩いて5、6分の近所だったこと。
なんで今まで行かなかったんだろう、とぼくらは笑ってしまった。
理由ははっきりしている。日曜の朝は、ゆっくりしたいから。
でも考えてみれば、パリに住む前のぼくらには、曜日の感覚なんてほとんどなかった。
それがいつのまにか「日曜の朝はゆっくりしたい」と思うようになっている。この変化には、ちゃんと理由があった。
あなたのすぐ近所にある「まだ行っていない場所」はどこ?
2. カレンダーを見なくても、週末がわかる街
パリでは、カレンダーを見なくても週末が体感できる。
週末になると教会の鐘がいつもよりたくさん鳴って、ああ、もう週末なんだなとわかる。午前中の街からは人が減って、静かになって、雰囲気そのものが変わる。
この街の人たちの暮らしが、曜日を教えてくれるのだ。
だからぼくらも、やることはそこまで変わらないのに、週末の午前中は気持ちゆっくり過ごすようになった。
妻は「これがパリに来て、自分なりに得た豊かさの感覚だな」と言っていた。
時間に追われて週末を迎えるのではなく、街の空気が変わるのを感じて、自分のリズムもゆるめる。旅するように暮らしていると、こういうものを土地からもらうことがある。
あなたの暮らしのなかにある「週末の合図」は何?
3. 冷蔵庫の中の、小さな楽しみ

妻の最近の小さな楽しみは、ヨーグルトだ。
フランスは乳製品がおいしいうえに種類が豊富で、値段も買いやすい。お気に入りをいくつか冷蔵庫に入れておいて、冷凍のフルーツをシャーベット状のまま入れて、そこにチョコレートのピーナッツバターを添える。ナッツも入れる。それが一日の終わりのおやつになる。
ここで、ぼくの失敗がひとつ発覚した。
そのチョコレートのピーナッツバター、冷蔵庫で見かけるたびに「いつか食べたいな」と思っていたのだけれど、実は妻が毎日ぼくの器にも入れてくれていたらしい。「これおいしいから、ここの部分食べてね」と言われて、わかったと答えて、食べていたのに。味わった記憶がない。
「味わわない人には、もう入れません」と妻には言われてしまった。
笑い話だけれど、ちょっと考えさせられる。せっかくの小さな楽しみも、味わわずに通り過ぎれば、なかったのと同じになってしまう。
あなたが最近「味わわずに通り過ぎているもの」は何?
4. 快楽より、心地よさを積み重ねる
快楽と、心地よさは違う。
快楽は刺激的で、一瞬はすごく楽しい。でも盛り上がったぶんだけ、もっともっと、と次の刺激がほしくなる。
それよりも大事なのは、安心するような心地よさを感じ続けること。
そしてその心地よさは、小さな楽しみを積み重ねることでつくられていく。
マルシェで買った野菜での自炊。教会の鐘で感じる週末。冷蔵庫のお気に入りのヨーグルト。ひとつひとつは本当に小さい。でも一日のなかに積み重ねれば、素晴らしい一日になる。
来週はマルシェのジュース屋さんで、ガレットを食べようと話している。
こないだはクレープを食べたから。そんな小さな予定が、もう次の楽しみになっている。
小さな楽しみを、毎日つくっていく。
それが、いい一日をつくるいちばん確かな方法かもしれない。
今日のあなたは、どんな小さな楽しみを積み重ねる?
