
いま、パリが暑い。
例年より12度も高い日が続いて、日中は36度。夜の10時になっても34度のまま。しかも部屋にクーラーがない。
そんな熱波のパリをどう過ごすのか。
そこには「暑さと戦う」のとはちょっと違う、暮らしの知恵がある。
出典:ポッドキャスト「ライフトラベラーカフェ」
cafe.241 パリの熱波の過ごし方
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1. 夜のうちに、涼しさを部屋に溜めておく
妻がまずやっているのは、夜中のあいだ窓を全開にしておくこと。
パリの夜は、本来なら18度や19度まで下がる。最近はそこまで下がらないけれど、それでも夜のうちに涼しい空気を家の中に溜め込んでおく。
そして朝の7時半から8時には、日差しの当たる窓を閉めて、カーテンも閉める。
光を部屋に入れない。カーテンを一枚閉めるだけで、部屋の温度はずいぶん違ったという。だから日中の部屋は基本的に暗くて、間接照明で過ごすことになる。
ところが妻は、その暗さが結構気に入っているらしい。
そこには思いがけない発見があった。
あなたの暮らしの中で「先に仕込んでおく」と楽になることは何?
2. 光を入れすぎない方が、消耗しない
夏のパリは、日照時間がとても長い。
日の入りは夜の10時ごろ。明るい時間が16時間近く続く計算になる。
普通なら夜の8時、9時と暗くなっていくのに、外がさんさんと明るいままだと、体はちょっと頑張って起き続けてしまう。それが自律神経の負担になる。
だから逆に、午前中から部屋を少し暗くして、光をあまり入れすぎずに過ごす。
その方が体調が消耗しないことに、妻は気づいたという。
暑さ対策として始めたことが、体を守る過ごし方にもなっていた。
あなたが最近「減らしてみたら、かえって調子がよくなったもの」は何?
3. 首を冷やして、夕方の風にあたる

妻は日本から、冷感グッズも持ってきていた。
スポーツ用の、首を冷やすバンド。首にはいちばん太い血管が通っているから、そこを冷やすだけで体はだいぶ楽になる。熱が上がると頭痛になりやすい妻には、これがとても効いているそう。
考えてみれば、日本にはこういう暑さ対策グッズが驚くほどたくさんある。
それはなんて幸福なことなんだろう、と妻は言う。日本にいる皆さんには、ぜひあれを存分に活用してほしい。
もうひとつの知恵は、夕方に外へ出ること。
パリは湿度が低いから、日陰に入って風があれば、30度くらいまでは意外と耐えられる。夕方の5時、6時はまだ暑いけれど、家にこもるより、外に出て風を浴びる方が気持ちいい。乾いた土地ならではの過ごし方だ。
あなたのまわりにある「当たり前だけど、実はありがたいもの」は何?
4. エアコンが買えない街で
それなら、いっそポータブルのエアコンを買えばいいのでは?
そう思って調べたら、届くのは来年の2月だと言われた。3ヶ月待ちどころではない。Amazonでも買えない。電気屋さんを回っても、どこも「入荷は2月」。
氷を作る製氷皿を買いに行けば、「そんなのとっくに売り切れよ」とどこのスーパーでも言われる。
5月から熱波が来て、6月には40度の日もあったから、フランス中の人が同じものを求めたのだろう。
日本なら100円ショップで当たり前に買えるものが、ここにはない。いま日本から来る友人に、製氷皿を頼んでいるところだ。
日本では当たり前に手に入るものが、世界では当たり前じゃない。
そのことを、熱波がまざまざと教えてくれる。
もし「いつでも買える」がなくなったら、あなたは何を工夫する?
5. 「静」で過ごす夏
夏って、気持ちが盛り上がる季節だ。
でも盛り上がって動き回ると、体は熱くなる。クーラーがあれば家に帰って冷やせるけれど、ここにはそれがない。
だから妻は、落ち着いて過ごすことを意識するようになった。
気を上げすぎない。家の中でもあれこれ動いたり、頭を使いすぎたりしない。静の時間、陰の時間を自分の中に持ちながら、物事をやっていく。
それは我慢というより、自然がもたらしたバランスのメッセージのようだった、と妻は言う。
クーラーがあったらきっと、いつも通り騒いで、動いて、消耗していた。ないからこそ、工夫が生まれて、静かに過ごす豊かさに気づけた。
そしてもうひとつ、支えになっていることがある。
パリの夏は、本来は高原の夏。日本のように9月まで暑さが続くわけじゃなく、来週には最高気温がぐっと下がる予報が出ている。
「終わりがある」とわかっているだけで、人はこの数日を頑張れる。
アイスカフェラテを飲みながら、涼しくなったパリを思い描いて。
熱波の夏も、工夫と一緒に乗り切っていく。
いまのあなたが「静」で過ごすとしたら、何をやめて、何を残す?
