人が育つ土壌に必要なものは、信じて見守ってくれる人がいる、という安心感です。
相手のどんな答えにも「すべてが正解」と、否定しないスタンスをもちましょう。
それがその人の自信となり、やがて意欲や責任感、モチベーションへとつながっていきます。

1. 強みを伸ばす
理想とする姿を聞き、意識させることで、伸び悩みを解消する
伸び悩んでいる人には、心配するのではなく、自分の思い描く理想像を聞いてみましょう。
なりたい姿を意識できれば、目標に近づくために頑張れるものです。うまく答えられなくても、目指すべき理想像をイメージするきっかけになります。
① NG質問「最近、苦戦しているようだけど大丈夫?」
↓
・理想とするのは自分のどんな姿かな?
・そうなんだ、他にはどんなことをしてみたい?
力不足の指摘よりも、本人が考える「強み」を認めて、ほめること
本人が「強み」と思っているところをズバリ聞いてみましょう。
照れて言いづらいかもしれませんが、目に見えない頑張りや、評価して欲しいポイントがわかることも。
そこを手放しでほめてあげれば、相手も自信がもてるようになります。
② NG質問「もう少し頑張ってほしいんだけど・・・。」
↓
・自分の強みはどんなところだと思う?
・確かにそうだね。その強みをどんな風に生かしてみたい?
自分の強みを理解している人には、具体的な生かし方を問いかけてみる
上の例は強みを自覚していない人への質問ですが、こちらは自覚している人への質問。
強みを自覚していても遠慮や戸惑いから行動を躊躇している場合も。
強みを生かす方法は何かを尋ねることで、具体的な一歩を考える機会に。
③ NG質問「自分の強みを生かせていると思う?」
↓
・あなたの強みをもっと生かす方法は何だと思う?
・自分の強みをこんな風に生かしたい、と考えたことを聞かせてくれる?
達成感・満足感のツボを知って、力を伸ばすための効果的な言葉かけを
人に認められたとき、売上を達成したときなど、どんなときに達成感や満足感を感じるかがわかれば、その人の意欲の源泉がわかります。
仕事に対する価値観を知ることで、ほめ言葉やアドバイスなど、効果的な言葉かけができます。
④ NG質問「この仕事おもしろい?」
↓
・この仕事をしていてどんなときに達成感を感じる?
・最近だったらどんなときに感じた?
・具体的に聞かせてくれるかな?
具体的な気分転換法に意識を向けることで実践につながる質問
悩みごとからサッと気持ちを切り替えられることは、大きな強みになります。
気持ちを切り替えるには、ただ言葉だけで気分転換を促すよりも、その人なりの具体的な気分転換方法をイメージさせる質問が効果的です。
⑤ NG質問「また悩んでるの?気持ち切り替えてみたら?」
↓
・どんなことをすると、リフレッシュできる?
・どんなことが気分転換になる?
・休みの日はどんな過ごし方をしてる?
2. 自信を持たせる

成功例にフォーカスすれば、ノウハウの蓄積や応用へのヒントに
「なぜうまくいったのか?」と質問されると、人はその理由を考えます。
ほめることも大切ですが、まぐれで終わらせないためにもノウハウを蓄積できる質問をしましょう。
他の仕事に応用できるヒントが見つかることも少なくありません。
① NG質問「あの仕事、うまくいってよかったね。」
↓
・あの仕事がうまくいったポイントは何だったと思う?
・それは、他のことにも応用できそう?
楽しくできた仕事を思い出せば、自信と意欲がわいてくる
仕事が楽しくなさそうな人に、後ろ向きな問いは逆効果。
気持ちよく働いたときのことを振り返らせ、やりがいを引き出しましょう。
意欲や自信の回復につながります。これも上の例同様、成功体験に焦点をあてるテクニックです。
② NG質問「最近モチベーションが下がっていない?」
↓
・仕事をしていて楽しいと思うのはどんなとき?
・仕事のやりがいを感じたのは、どんなとき?
進捗状況を数値化すれば、完成までの道のりが見える
自信をもたせるには、自分の力でやり遂げてもらうことが大切。
そこで仕事の進捗確認するときは、数値化して「見える化」をはかりましょう。
現状の把握と、今何をすべきかを気づかせることができ、またフォローもしやすくなります。
③ NG質問「今のペースで、本当に間に合うの?」
↓
・今、何パーセントくらいできてる?
・どんな助けがあれば、うまくいきそう?
・私が手伝えることは何?
同じミスをしないよう対策を考えさせ、負の経験を財産に
同じ間違いを繰り返すことには、何らかの原因があります。ミスを責めるよりも、同じ過ちをしないために「どうすればよかったか」を考えさせましょう。
負の経験を反省し、糧にできれば、大きな成長や自信へとつながります。
④ NG質問「どうしてまた、同じミスをしたの?」
↓
・同じミスをしないためには、どうすればいいと思う?
・今回の経験で何がわかった?
・どんな準備をしたらうまくいくと思う?
減点法の指導はNG 現状に何をプラスしたらよいかを考えさせる
本来の力を発揮するために、何が足りないのか、何をすればいいのかを考えることで、スキルアップのヒントが見つかります。
「本当はもっとできるはず」という期待の含みをもたせれば、相手も自信をもって奮起するはずです。
⑤ NG質問「まだ100%の力が発揮できてないよね?」
↓
・100%の力を発揮するために、今やれることは何かな?
・今の仕事ぶりは100点満点でいえば何点?
・120点にするためには何をプラスしたらいい?
3. 言い訳をなくす

行動のブレーキを解除することで、アクションが起こせるようになる
行動できないことを責めると、相手からは言い訳が返ってきます。
そこで、何が原因で躊躇するのかを問いかけましょう。
「失敗への不安」など決断できない理由を考えることで、行動のブレーキになっているものが見えてきます。
① NG質問「なんですぐに行動しないの?」
↓
・決断を邪魔しているものは何だと思う?
・何がクリアになれば行動できそう?
・行動のブレーキになっているものは何?
感情や推論ではなく事実のみに焦点をあて、対策を考えれる環境をつくる
責められていると感じると、言い訳が出がちです。
相手の動揺を静め、そこに至った「事実」のみを聞き出しましょう。
同じ視点に立って事実を振り返る状態をつくり、相手が冷静に解決策を考えられる環境を整えることが大切です。
② NG質問「なんでこんなひどい状況になったの?」
↓
・この状況に至った経緯を教えてくれる?
・そうだったんだね。では、これから何をどうしたらいいと思う?
否定ばかりの人には、相手の話を一度聞き入れてから、問い返す
否定する人にも主張があります。否定に否定で返すのではなく、いったん相手の言い分を受け止めてから返しましょう。
言いたいことを「聞いてもらえた」という気持ちが相手に生じると、こちらの意見を肯定的に聞く余裕が生まれます。
③ NG質問「なんで否定ばかりするの?」
↓
・たしかにそうとも言えるね。その場合、〇〇はどうかな?
・それもそうだね。じゃあ、何が解消したらうまくいくかな?
4. 見守る

応援するスタンスで、相手が理解できたことを確認する
わからなくても「わかりません」とは言いにくいものです。
理解度を確かめるときは「わからないところはある?」という聞き方を。
フォローするニュアンスがあれば、相手も気兼ねなく、疑問や不明な点を聞けます。
① NG質問「今の説明でわかった?」
↓
・今までのところで、わからなかった部分はある?
・今の説明でわかったことは何か、教えてくれる?
・今の内容を人に説明するとしたら、どう話す?
見守る姿勢を示し相談しやすい空気をつくっておく
不安や問題を抱えていないか、さりげなく問いかけ、何でも言うように声かけします。
自分を見守る人がいることで、相手は心強く感じます。相談をもちかけてきたら親身に対応し、話がしやすい関係を築いておきましょう。
② NG質問「困ったことがあったら、呼んでくれる?」
↓
・何か困ってない? いつでも声をかけて。
・仕事を進めるうえで、気になる部分はある?
・わからない部分はある? 遠慮なく聞いてね。
上記の魔法の質問に答えてみる