基本的なマナーや礼儀などが身についていない部下もいるものです。
でも、最初から頭ごなしに指導するのは得策とは言えません。部下には「何が大切なのか」「どうして大切なのか」を考えてもらう必要があります。
ここでは、そのために有効なしつもんを押さえていきましょう。ポイントはいつでも「部下のためになるしつもんか?」です。
1. 遅刻を繰り返さないための「具体策」
どんな職場でも、遅刻をしてくる部下はいます。その理由は、本当に避けられない事情の場合もありますが、あきらかに本人に原因があることもあります。
このとき、もし、「なんで遅刻したの?」と質問してしまうと、「だって、目覚ましが鳴らなかったから」「忘れ物を取りに戻ったから」「出がけに電話が鳴ったから」という言い訳が返ってきます。
しかし、言い訳からは改善策は生まれません。
そんなときは、こんなふうにしつもんしてください。
「どのようにすれば時間どおりに来られるかな?」
これは、何が悪かったのか、その要因を自分の中で探してもらうしつもんです。
この問いかけをすることで、「今後は、どう改善していけばいいのか」ということを自ら見るけてくれるようになります。
繰り返しになりますが、「どのようにすれば」で始まる問いかけは、未来にフォーカスするしつもんです。きっと、自分なりの対策を前向きに考えてくれると思います。
たとえば、「目覚ましを3つかけるようにします」「忘れ物がないよう、前日にしっかり準備します」などのアイデアが出てくるかもしれません。
もし、遅れた理由が電車の遅延の場合でも、「もう少し早めに家を出るようにします」「違う路線での行き方をチェックしておきます」という答えを出してくれれば、改善の余地があるでしょう。
このように、次回から遅刻しないための対策がかい返ってきたら、その後は「じゃあ、それをやってみようか?」と促すだけです。
これは上海でしつもんを実践している知人の体験談ですが、いつも遅刻してくる中国人スタッフにこのしつもんを使ったところ、次の日から遅刻しなくなったと喜んでいました。
しつもんの効果は世界共通です。ぜひ、使ってみてください。
どのようにすれば時間どおりに来られるかな?
2. 「重要度」がわかると休まない
大事な会議の日や、期日間近の仕事が終わっていない日に、あまり深く考えない様子で休む部下がいます。そんなときは、休んだ理由を問いただすよりも、なぜ会社に出てくることが必要なのか、仕事そのものの重要度を、部下に理解してもらう必要があります。
部下の認識が、上司のあなたと同じであるとは限りません。
もし、「行ってもいいし、行かなくてもいい」という考えだった場合、問題意識がない部下に改善を促すのは難しくなります。
そこで、
「この会議(案件)の重要度は、どれくらいだったと思う?」
というしつもんで、仕事に対する認識を明確にします。
万が一、部下から「休んでも他の人がなんとかしてくれると思った」などの安易な答えが返ってきたとしても、否定はしないでください。
それが、本人にとってのその時点での事実です。そのときは冷静に、「なんで休んでも大丈夫だったと思う?」と理由を聞くようにしてください。
もし、相手から答えが出てこなかった場合は、「絶対に休んではいけない案件」「それほど重要はない案件」などの選択肢を与え、どれに当たるか考えてもらいましょう。
相手の考えを確認したら、そこで初めて「私は〇〇だと思う。なぜなら〇〇だから」と理由を添えて上司としての意見を伝えます。
ここで大切なのは、しつもんを通じて、すり合わせを行っていくということです。あくまでも部下に考えてもらうことが大事なので、「これは大切な会議だったよね?」と意見を押しつけることはしないでください。
自分で答えを出さなければ、実際の行動には結びつきません。こちらから指示するのではなく、考えを引き出すことが狙いであることを忘れないようにしましょう。
この会議の重要度は、どれくらいだったと思う?
akaz says
私自身、ダメ社員でしたので、この質問の重要性はよくわかりますね。
そもそも、会社に行きたくて行っているわけではない。
誰かが何とかしてくれるだろう、という思いがあった。
そんなやる気のない社員でずっと10年近くいました。
まき says
やる気はあっても、必要な案件は伝えてもらえず、会議にも呼ばれず、最終判断や決定事項を決められて、「○○するように」、と指示があっても、結局、そのやり方で何か問題が起こると、現場の私の責任にされます。
今後は、逆に「業務遂行上、どのくらい必要な会議で、私の出席はどのくらい必要ですか?」と聞いてみようと思いました。